2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on construction of composition corpus and collaborative composition instruction in junior high school-university
Project/Area Number |
16K04751
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
宮城 信 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (20534134)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 作文コーパス / 言語発達 / 作文の表現 / 作文の計量的分析 / 文章の書き分け |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中学校と大学で連携して文種別作文の実態調査、指導法の提案を実施した。代表者は大学で長く文章作成指導に携わってきた経験がある。これまで研究協力者である中学教員と密に連絡を取りながら、国語科の授業での作文指導について示唆を与えてきた。本年度においても、その指針を得るため、構築している異なる文種の作文を収録した『文種別作文コーパス』の修正・追加を実施した。現場でも多様な情報を得ることができたが、今後さらに収録作文数を増やして、より真正性を高めていく必要がある。 収集した資料を基に、生徒らが書く作文別に、使用語彙、文末形式、多用される表現などの数量的実態データを作成した。加えて、小学生や大学生が書いた類題の作文も収集・参照して、本資料の相対的位置付けを行った。その結果、生徒らは、題材・内容以外に文種に合わせたいくつかの書き分けスタイルをもっていることが分かった。語の使用、文末表現の使用はもとより、本研究における特徴として、固有の表現に着目した分析、すなわち表現の選択傾向や誤用の出現要因など、作文指導に直結する分析を実施したことが挙げられる。その結果、学年の進行と語の選択には一定の傾向が見られ、よく指摘される和語から漢語といった単純なものではなく、語別にいくつかの発達パターンを有していることが確認できた。これらの知見は現場での作文指導における具体的な指示の改善に役立つと思われる。今後の課題として、現在当該コーパスに一部分類語彙表番号を付与する作業を実施している。まだ一部にとどまるが、いくつかの傾向は見出された。今後同様のアノテーションが十全なものとなれば、この指標によって、さらに詳細な類語の使い分けの傾向を掴むことが期待される。現場の作文指導にに対しても、文種別の書き分け技術指導において重要な指針となると考えられる。
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