2016 Fiscal Year Research-status Report
諸地域の世界遺産の伝達を通して異文化理解を深めるESD授業モデルの開発
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16K04758
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
金野 誠志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50706976)
荒尾 浩子 三重大学, 教育学部, 教授 (90378282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ESD / 異文化理解 / 世界遺産 / コミュニケーション / 授業モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は三重大学教育学部と三重大学教育学部附属中学校との連携体制を整えることができた。また,オーストラリアのベド=ポールディング学校に訪問し,3年間の遠隔会議による世界遺産をテーマとした学習の連携について合意を得ることができた。 平成28年度に三重大学教育学部附属中学校第1学年を対象に,附属中学校とベド=ポールディング学校でお互いの地域の世界遺産の特色と価値を伝え合うESD授業を開発し,実践した。具体的には,三重大学と附属中学校とベド=ポールディング学校と打ち合わせの結果,三重県の熊野古道とシドニー郊外のブルーマウンテンズをテーマとした。 ESD授業は,三重大学と附属中学校との打ち合わせ(5月~11月),三重大学と附属中学校とベドポールディングとの打ち合わせ・接続実験(8月~11月),三重大学の社会科教員による世界遺産教育の意義と日本とオーストラリアの世界遺産の特色と価値の授業(10月),附属中学校の社会科教員による日本の熊野古道の特色と価値の授業(11月),三重大学と附属中学校の英語教員による連携したコミュニケーション指導(12月),附属中学校とベド=ポールデング学校によるお互いの地域の世界遺産の特色と価値を伝える遠隔会議(12月)の流れで行った このような系統的な学習により,附属中学校の生徒は,熊野古道についてボードを使ってベド=ポールディング学校の生徒に英語で伝えることができた。また,ベド=ポールディング学校の生徒はパワーポイントでたくさん写真や動画を活用するなどブルーマウンテンズのよさをわかりやすく伝えようと工夫したため,附属中学校の生徒は聞き取ろうとする姿勢がうかがえた。授業前後のアンケートの結果から,附属中学校の生徒は地域の世界遺産を伝えることを通して,地域の世界遺産が人々が継承した文化であること,日本独自の文化であることを意識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度にユネスコスクールである三重大学教育学部と三重大学教育学部附属中学校において,学部附属連携事業の一環として,3年間継続してESD授業を実施することを確認した。具体的には,三重大学と附属中学校の社会科・英語科の教員間で,3年間の世界遺産教育の内容とコミュニケーション指導の系統性について確認し合った。 28年度に,第1学年において,12月の遠隔会議を核として,日本とオーストラリアで世界遺産の価値を伝え合うESD授業を実施できた。このため,29年度の人々の価値観を伝え合うESD授業と30年度の世界遺産への対応を伝え合うESD授業への見通しをもつことができた。 ESD授業は遠隔会議が核となっているが,28年度は附属中学校の遠隔会議システムの機器の故障により三重大学の代替機器で対応した。29年度は附属中学校の機器において,遠隔会議を行う環境を整える。また,相手に自分たちが伝えたいことがより伝えることができるようなプレゼンテーションの工夫を考える必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,異文化理解を深めるとは,異文化を認識し,異文化を尊重し,異文化に対応することと考えている。日本とオーストラリアのそれぞれ地域の世界遺産の価値を認識し,地域の世界遺産の背景である価値観を尊重し,共通の宝である第三国の世界遺産に対する対応を考える異文化理解を深めるESD授業のプログラムを3か年で計画している。各年度のESD授業や3か年のプログラム全体の成果を分析するために,中学校の同一学年の集団を対象としている。 平成28年度は,第1学年における日本とオーストラリアの世界遺産の特色や価値を伝え合うESD授業を開発し,授業実践を行うことができた。平成29年度は,第2学年において,日本とオーストラリアの世界遺産の背景となる人々の価値観を伝え合うESD授業を開発し,授業実践を行い,異文化理解の深まりを分析する。平成30年度は,第3学年において,第三国のアメリカ合衆国とシンガポールの世界遺産への対応を考えるESD授業を開発し,授業実践を行い,異文化理解の深まりを分析する。 三重大学と附属中学校との連携においては,第2学年の社会科学習において,世界遺産に関わる題材を適宜取り上げるようにして,ESD授業と連動させる。第1学年の世界遺産の特色や価値を伝え合うことから一歩進め,世界遺産の背後にある人々の考え方に着目させ,お互いの世界遺産をお互いに大切にしていく態度を育てることに焦点を当てる。コミュニケーションにおいては,端的にわかりやすい表現を考え,グループ全体として,伝えたいことのまとまりを意識させたい。 第3学年の第三国の世界遺産への対応を考えるために,研究協力者がアメリカ合衆国やシンガポールの世界文化遺産の背景を考える授業を開発し,三重大学や附属中学校と連携を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
附属中学校の遠隔会議システムを修理する費用として30万円をとっておいたが,対象のメーカーとの連絡がうまく取れず,修理自体を平成29年度に行うようになった。 223,483円については,3月の終わりに発注したため,すべての品物が3月までの納入に間に合わず,支払いを29年度にまわしてもらった。研究協力者の43,840円は29年度で一括して備品等を購入するためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
修理代にとっておいた30万円は,29年度に遠隔会議システムの修理を確実に行う。差額が出た場合はマイク等の遠隔会議に必要な機器を購入する。223,483円については執行予定である。研究協力者の43,840円は29年度分と合わせて執行する。
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Research Products
(5 results)