2017 Fiscal Year Research-status Report
諸地域の世界遺産の伝達を通して異文化理解を深めるESD授業モデルの開発
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16K04758
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
金野 誠志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50706976)
荒尾 浩子 三重大学, 教育学部, 教授 (90378282)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 世界文化遺産 / 人々の価値観 / 遠隔会議 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は三重大学教育学部附属中学校第2学年とオーストラリアのベドポールディング学校第8年において,お互いの国の世界遺産の背景にある人々の価値観について認識し,伝え合う教材を開発し,遠隔会議を実施することができた。 三重大学教育学部附属中学校では,奈良・京都の世界遺産を素材として日本人の心(価値観)について伝えようとした。ベドポールディング学校では,主にエアーズロックを素材に先住民の心(価値観)について伝えようとした。アンケート結果から三重大学附属中学校の生徒は,世界文化遺産を通してお互いの国の人々の価値観について,思考・判断・表現する力がついた。 学術研究としては,世界遺産の顕著で普遍的な価値とは何かについての論文や世界遺産に関わる観光教育をどのように地理教育に取り入れていくかという単元構想の論文や英語のコミュニケーションの在り方を考える論文を提案することができた。 遠隔会議に向けた三重大学と三重大学附属中学校との連携においては,世界遺産教育の内容は主に地理教育の特別授業で,世界遺産教育を伝えることについては主に英語教育のコミュニケーション指導で行うことができた。 遠隔会議については,附属中学校側において,グループでテーマを決定して,グループの発表として,①取り上げる世界文化遺産の位置・特色や価値を伝える,②世界文化遺産から見ることができる日本の伝統文化を伝える,③世界文化遺産から見ることができる日本の考え方や価値観を伝える,④世界文化遺産についてどう思っているのかを伝える,という大まかな流れをもとに,ベドポールディング学校の生徒にわかりやすく伝えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はお互いの国の世界文化遺産について,その特色や価値を伝える,平成29年度は世界文化遺産を通してお互いの国々の人々の心(価値観)について伝える遠隔会議を実施することができた。このような内容面における進展ばかりでなく,学習内容をどのようにわかりやすく相手に伝えるのかというコミュニケーションの在り方について三重大学教育学部附属中学校の生徒は強く意識することができた。 三重大学教育学部附属中学校では,遠隔会議システムの修理が完了し,オーストラリアとスムーズに交信できるようになった。また,三重大学と三重大学教育学部附属中学校との連携として,どのように進めていくかを検討する連携会議を定期的にもつことで,主に遠隔会議の教育効果や成果発信について話し合うことができた。遠隔会議に向けた学習内容は,遠隔会議で実際に使用するボードを附属中学校の文化祭で生徒や保護者に披露するなど,世界遺産のESD授業のプログラムの概要とその教育効果について広く周知することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,日本とオーストラリアではない第三国の世界文化遺産について学び,顕著で普遍的な価値をもつ世界文化遺産に対してどのように対応していくのかを考えるESDの授業プログラムを開発する。具体的には,日本の生徒はオーストラリアの世界文化遺産をどのように考え,対応していくのか,オーストラリアの生徒は日本の世界文化遺産をどのように考え,対応していくのかをお互いに伝え合うことにより,世界文化遺産に対する認識を深め,行動のあり方を考えていく。 学会等で,継続的なプログラムにより,生徒の異文化理解がどのように深まり,行動の変革の意識が高まったのかについて,発表し,その成果を論文としてまとめていく。また,地理教育と英語教育の連携という側面から,英語のコミュニケーションにおける世界遺産を取り上げる意義についても提案していく。
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Causes of Carryover |
研究分担者が体調不良のため外国調査に行けなかった。その分を平成30年度に早期に実施する予定である。
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Research Products
(13 results)