2019 Fiscal Year Research-status Report
「生命尊重」の価値に基づいて行動する力を育成する道徳教育プログラムの開発
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16K04766
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 由美子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (40206545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 智恵 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70646116)
山崎 茜 広島大学, 教育学研究科, 講師 (00792277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 道徳学習プログラム / 生命尊重の価値観 / いのち観の学習モデル / 道徳科学習指導案 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の目的は、平成30年度に改善した道徳教育プログラムを実施・効果検証を行い、最終版を開発することであった。平成30年度の生命尊重の道徳学習プログラムの効果についての調査から、学習指導要領の内容項目のうち礼儀、親切、不撓不屈、生命尊重は9年間を通して選択率が高いこと、感謝、規則の尊重は小学校高学年ごろから選択率が高くなることが明らかになった。この結果から、(1)道徳学習プログラムにおいては9年間継続して取り上げる必要があるものと、学年が上がるにつれて取り上げる必要があるものとに分けるとより効果的であること、(2)9年間を学年で区切ったプログラムにするのではなく、取り上げる内容をフェーズで特徴づけたプログラムとし、学年ではなく児童生徒の状況に応じて使えるプログラムにすることが重要であることが示唆された。 以上から、これまでの研究で開発したいのち観の発達モデルにもとづいて、「いのちに気づく」「思いを広げる」「違いを受け入れる」「生き方につなぐ」の4フェーズを策定し、いのち観の学習モデルを開発した。それぞれのフェーズの道徳授業教材として、「ぼくのあさがお」「ぐみの木と小鳥」「ブランコ乗りとピエロ」「ミレーとルソー」を選定し、道徳科学習指導案を含む4つの道徳学習プログラムを掲載した「道徳授業実践ハンドブック-道徳学習プログラム集―」を開発した。 今後は、開発した「道徳授業実践ハンドブック―道徳学習プログラム集―」を、研究協力者の学校で実践し、改善するとともに、中学校版を作成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、成30年度の調査に基づいて作成した「道徳学習プログラム案」を小中9学年において試行し改善してプログラムの最終版を作成する予定だったが、これまで小中一貫校で9学年を通した実践研究を行っていた研究協力者が転勤となり、異動先で低学年の担任になったため、9年間を通した授業実践のなかで検証・改善することができなくなった。そのため計画を変更して、道徳科学習指導案を含んだ道徳学習プログラムを「道徳授業実践ハンドブック―道徳学習プログラム集―」として作成した。状況の変化により全学年での試行・改善はできなかったが、研究協力者の意見を取り入れながら道徳学習プログラム集を作成できたので概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、令和元年度に開発した「道徳授業実践ハンドブック―道徳学習プログラム集―」を小学校で試行し、その成果を公表する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により学校が休校措置になっているため、小学校で実践・改善を行うことが困難となった。そのため、研究協力者の学校における実践・改善は可能な範囲で行うこととし、小学校版に加えて中学校版の「道徳授業実践ハンドブック」の作成も行うこととした。平成30年度の調査からいのち観は「いのちに気づく」から直線的に「生き方につなぐ」に進むのではなく、「いのちに気づく」「思いを広げる」「違いを受け入れる」「生き方につなぐ」の各フェーズの内容について考えを深めながら、自分の生き方と関連させて考えるようになることが示唆された。ここから中学校においても4つのフェーズに従って道徳学習プログラムと道徳科学習指導案の開発を行う。研究協力者は、これまでと同様である。 研究成果として、中学校用の道徳科学習指導案も含めた「道徳授業実践ハンドブック」を作成する。成果発表を予定していた道徳教育方法学会が中止、世界教育課程教育方法学会(WCCIアメリカ大会)が延期となったため、紀要やホームページにおいて成果を発表する。
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Causes of Carryover |
パソコンの購入を予定していたが、COVID-19の影響により年度内に購入ができなかったため、残金が生じた。パソコンの購入が可能になり次第執行する。
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Research Products
(1 results)