2016 Fiscal Year Research-status Report
青年期発達障害者の自尊感情の安定性とwell-beingに関する心理学的研究
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16K04813
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 道生 筑波大学, 人間系, 准教授 (50362827)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自尊感情 / well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3ヵ年の縦断的検討のスタート年として、まず青年期発達障害者を対象として、自尊感情とwell-beingに関するアンケート調査を実施した。全国の複数の親の会に協力を依頼し、現在段階で約80名程度の発達障害者の協力を得られており、さらに追加をしていく予定である。なお、障害種別や年齢などによる対象者の偏りなども課題として認められており、解決していく必要がある。現段階では、青年期発達障害者の自尊感情とwell-beingの関連性などが示されてきており、今後は障害種別による違いなども明らかにしていく予定である。なお、本調査研究に関しては、次年度学会発表予定であり、今後、学術論文としても投稿を行っていく予定である。 また、青年期発達障害者を対象として、自尊感情とwell-beingに影響を与える要因の基礎的な検証として、面接調査を実施した。具体的には、質問項目に対する回答理由を尋ね、自己価値や自信、さらには幸せを感じる時やその源などについて尋ねている。その結果、発達障害者自身が曖昧な自己価値を抱きながらも、自分のことを他者と比較したり、周りとの関係のなかで捉えている実態が浮き彫りになってきており、支援の手がかりへとつながる有益な知見が得られつつある。現在もデータ収集中であり、今後データを増加し、自尊感情とwell-beingの影響要因について考慮をした効果的な支援のあり方の開発へとつなげていきたい。 なお、これら2つの研究については、筑波大学人間系の倫理審査委員会の承認を経て実施された。 その他、本年度は国内の学会に積極的に参加し、発達障害の研究成果について知見を得るとともに、研究者等と情報交換を行い、研究内容や方法にいかすように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた青年期発達障害者を対象としたデータ収集は、おおむね順調に実施でき、約80名程度の協力が得られた。ただ、障害種別や年齢などによる人数の偏りなども認められており、研究成果としてまとめていく上で解決していく必要がある。また、分析が途中であり、データ収集を終えて研究成果を早急に発表していく必要があると考えている。 さらに、今年度は研究2年目に予定していた面接調査についても、既に取り組みを開始することができた。現在は、10名程度しか調査を実施できていないが、今後データを追加し、分析を行うとともに、研究成果を発表していく予定である。 また、2年目に予定している海外調査に向けて、関係機関との連絡調整も行い、具体的な日程がほぼ確定している。 なお、今年度の研究成果については、今後国内外の学会や学術論文として公開をしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在もデータ収集中である青年期発達障害者の自尊感情とwell-beingの特徴を解明するとともに、影響要因について検討を行っていく予定である。自尊感情とwell-beingについては、3ヵ年の縦断的な検討を予定しており、引き続き行っていく。また、影響要因については、現在、基礎的な要因について本人との面接調査から実施をしている。今後は、well-beingに影響を与えると指摘されてきた要因、ソーシャルサポート、自己の強みを生かした経験などの視点からも検証を試みる。さらに、近年の知見も踏まえて孤独感などとの関係についても検証していきたい。 また、次年度は青年期発達障害者の教育において、先進的な取り組みを行っているイギリスのThe Park schoolなどの学校訪問と面接調査を実施し、自尊感情やwell-beingに関する調査を行う予定である。海外の発達障害者の自尊感情やwell-beingなどの支援に関する情報収集を行い、プログラム開発につなげていく。 さらに、これまでの一連の研究についての国内外における学会発表や学術論文への投稿を行っていく予定である。 最終的には、青年期発達障害者の自尊感情とwell-beingに対する介入を行い、その効果いついて検証する予定である。そのため、介入プログラムの開発に向けた基礎的な知見を得ることを目的に検討を進める。
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Causes of Carryover |
アンケート調査の実施にあたり、郵送費の軽減、さらには発送作業の補助やデータ入力にかかわる人件費の効率的運用などから、次年度使用金が生じた。また、年度内に研究成果を発表する旅費が少額ですんだことからも、経費の削減へとつながった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究成果の発表を積極的に行っていく予定であり、学会参加の旅費、さらには面接データ収集のための旅費などに使用をする予定である。また、研究の更なる精緻化のため海外における現地調査などの旅費にも活用する。
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Research Products
(1 results)