2016 Fiscal Year Research-status Report
小学校におけるWell-Beingを視座とした集団適応行動に関する研究
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16K04828
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
相澤 雅文 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10515092)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 「気になる」児童 / Well-Being / 外在的問題行動 / 内在的問題j行動 / 小学校 / 内的適応 / 外的適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校(通常の学級)に在籍し,知的側面では顕著な遅れが認められないにもかかわらず集団適応が難しい児童への対応が教育現場では大きな課題となっている。児童期に達しても情動や行動の自己調整が難しい学校不適応行動がおきていることが報告されていた。 児童の学校不適応の実態と発生機序を解明するため、8年目となる質問紙法による縦断的調査を年2回に渡り実施した。通常の学級に在籍する小学1年生~6年生の児童(600 名程度)に対してはhyper-QUを実施し、学級担任に対しては「気になる児童」のチェックリストを実施した。また、併せて「児童の情動に関する調査」も実施した。 その結果、「外的適応:他者が集団適応という観点から,子どもの行動を評価する側面」と、「内的適応: 児童自身が集団適応という観点から,自分の行動を評価する側面」についてズレのある児童と一致している児童の存在が見いだせた。7年間の変化を追うと外的適応と内的適応の評価は変化しており、それは、対象児を取り巻く人的環境からの影響が大きいと考えられた。児童期の情動発達と外的適応と内的適応の評価は関連があると考えられた。すなわち、外在的問題行動と内在的問題行動と関連して外的適応と内的適応の二つの側面についても検討が必要と考えられた。 以上のことから、外在的問題行動と内在的問題行動と内的適応、外的適応との関連を明らかにするため、Well-Beingに関する論文及び書籍を参考として、児童を対象としたWell-Beingアセスメントの試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
公立小学校2校の全児童(約600 名)を対象に年2回2種類の心理尺度による縦断的調査(8年)を実施した。縦断的調査から児童の不適応感や不適応状態が変化していることが明らかになった。更にこの調査を充実していくため,新たな視点からの学校不適応からの望ましい行動変容の機序を明らかにすることが必要と考えられた。平成28年度は児童の情動に関する調査を実施し、「気になる」児童の情動の様相について考察を行った。通常の学級に在籍する児童に見られる不適応感や不適応状態を示す児童に対し外在的問題行動と内在的問題行動を視座とした縦断的調査を継続し,学校不適応の発生機序を明らかにする。不適応感や不適応状態を示す児童の行動の変化に対し教師や他児との相互作用から影響を調査するための児童のWell-Being アセスメントの試作を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
発達障害の(あるいは学級内で「気になる」)児童の学校不適応の実態と発生機序を解明するため、9年目となる質問紙法による縦断的調査を実施する。通常の学級に在籍する小学1年生~6年生の児童(1000 名程度)と担任する教員に対し2種の尺度への回答を6 月,12月の年2 回依頼する(質問紙は平成28年度と同じ)。 また,平成28年度に試作を行った「外在的問題行動と内在的問題行動を視座としたWell-Beingアセスメント」を試行し,因子分析を行い内容の検討を行う。更に質問紙法による縦断的調査との相関について分析を実施する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、Well-Beingアセスメントと併せて調査を行う学校を増やしたいと考えたため、平成28年度は予定より調査を実施する学校を計画より少なくしたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Well-Beingアセスメントを試行する学校を5校程度に増やしたいと考えている。得られたデータに基づいてWell-Beingアセスメント内容の検討を行う。更に質問紙法による縦断的調査との相関について分析を実施する。
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