2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an Educational Support Program on Improving the Resilience of Children with Stuttering
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16K04859
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
牧野 泰美 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 上席総括研究員 (80249945)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 吃音 / レジリエンス / 自己肯定感 / 通級指導教室 / ことばの教室 / 指導内容 / 指導方法 / 言語障害教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、前年度までに示唆された、吃音のある子どものレジリエンスの向上を目指した実践内容及び方法について、実際的な検討を行った。 本研究では、吃音のある子どものレジリエンスとその向上に関する知見として、次の点が整理された。①レジリエンスには、家族、学校、地域等の環境要因が影響する、②レジリエンスには、状況に対処する力等の個人の持つ要因が影響する、③レジリエンスは、自分の問題の気づき、人間関係、自らの主体性、ユーモア、創造性、コミュニケーション、希望、繋がり等の要素により構築される、④吃音問題との関連としては、問題の所在の理解、折り合い、認め合う仲間、目的意識、客観視、気持ちの解放、笑い、感情の対処、他者信頼等が重要な要素となる、⑤子ども自身が、自分の吃音や吃音のある自分を対象化して捉えること、自分自身のことや自分の吃音について説明できるような力を付けることが重要である、⑥そのためには「自分研究」が重要である、⑦吃音症状の改善の見通しがもてなくても、その曖昧さを受け入れることが重要である、⑧失敗したときの精神的な落ち込みを引きずらないための方策、否定的な意味合いのことばを肯定的に受け止めるための方策を考えることが重要である、⑨上記の事項を意識したことばの教室等での実践が重要となる、⑩その実践においては子どもと教師の「対話」が重要であり、対話には「対等性」が不可欠である。 ことばの教室等での実際的な取組として、吃音を生き物やキャラクター等にたとえて、その特徴を語り合う試み、吃音をめぐる出来事や気持ちを短文に表現する試み、自分の吃音の状態について、症状、周囲の反応、自分の気持ちの観点から図示する試みについて実践的に検討し、その具体例を収集・整理した。これらの実践は、子どもが吃音を対象化できること、教師との対等な対話を可能にすることの二つの観点から有効と考えられた。
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