2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05035
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
照井 章 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80323260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Syzygy / 数式・数値融合計算 / 最大公約子 / 代数曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
計算機代数に基づく代数曲面の融合計算の手法を調査し、その中で中心的な役割を果たすSyzygyの近似計算に用いる部分終結式行列について、これまでに導入した部分終結式行列以外の構造をもつ部分終結式行列の導入に関する検討を行った。複数個の1変数多項式に対する部分終結式行列として、我々がこれまでに提案した、複数個の1変数多項式の近似最大公約子(GCD)算法で用いた、Sylvesterの部分終結式行列の構造をもつものがある。この構造の行列については、より簡潔な構造で表したものが提案されている。我々も、その構造の行列が部分終結式行列の性質をもつことの理論的な裏付けについて、より簡潔な形による証明に取り組んでいる。さらに、Sylvesterの部分終結式行列よりも次元の小さなBezoutの終結式を用いて、複数個の1変数多項式の部分終結式行列を表す研究も行われており、Bezout型の部分終結式行列の導入も検討している。 本研究において開発する算法の実装にあたり、数式処理のソフトウェアライブラリの整備を行い、関連するアルゴリズムとして、線形代数の固有ベクトルや逆行列の並列計算を効率的に行うアルゴリズムの実装や検証を進めた。研究協力者の協力を得て、数式処理を行うための多項式演算等のライブラリの整備を行った。線形代数算法では、整数や有理数を要素とする行列に対し、最小消去多項式を用いて固有ベクトルや逆行列を効率的に計算するアルゴリズムについて、並列計算を用いた効率的な実装とその検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Syzygyの近似計算のためのアルゴリズムの効率化については、今後も調査、開発を継続するが、実装の基盤となるソフトウェアの開発や、関連する線形代数のアルゴリズムの実装に関しては、今後開発するアルゴリズムの実装に必要な準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
近似Syzygyの定式化を行う。与えられた多項式の係数に含まれる誤差も考慮し、係数に対し、与えられた許容度の摂動を加えた状況でのSyzygyの定式化を行う。近似Syzygyの計算に用いる部分終結式行列について、効率的計算に適した構造をもつ行列を導入し、算法の効率化を図る。複数個の入力多項式に対する近似Syzygyの効率的な算法を開発する。また、国内外の学会、研究集会等において、研究成果を発表する。
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Causes of Carryover |
本年度、本研究で開発するアルゴリズムを実装するためのソフトウェア開発が進行したことに加え、年度末に研究協力者と研究の進展のための研究打ち合わせを行う必要性が生じたため、ソフトウェアの実装を行う研究協力者への謝金および研究打ち合わせのための旅費を拠出することを目的として前倒し支払請求を行ったが、謝金と旅費の支払いが当初の見積もりより低く抑えられたため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と合わせ、研究打ち合わせの旅費、研究協力者への謝金、研究遂行に必要な物品購入等に用いる。
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