2017 Fiscal Year Research-status Report
フォノン工学におけるメタマテリアル複合材料の応用に関する計算科学的研究
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16K05038
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 岐阜大学, 工学部, 教授 (40271647)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大規模数値シミュレーション / メタマテリアル / 固有値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、主に以下の2つの課題に関する研究を行った。
(i) 母体となる固体材料中に共鳴粒子が埋め込まれた弾性複合材料の振動特性について、数値的研究を行った。具体的には格子モデルに基づき、共鳴粒子がランダムに分散している三次元複合構造における振動状態密度について明らかにした。 その結果、共鳴粒子を系内に分散させることによって弾性波に関するバンドギャップが現れる事、このバンドギャップは共鳴粒子に関するパラメータを変化させる事により、任意の周波数領域に導入することが可能である事、またこのバンドギャップの周波数幅は共鳴粒子の濃度を変えることによって制御可能である事などが確認された。 更に、異なる種類の共鳴粒子を導入する事により、複数のバンドギャップが現れる様子を示した。
(ii) 一般に音響メタマテリアル、或いはフォノニック結晶を用いると、特定の周波数の弾性波の伝播を抑制可能な材料を作成する事が可能となる。この問題に関連して、弾性波が伝搬する新材料自体に関する研究を行う事も重要となる。本研究課題では、球状ポリマーブラシと呼ばれるソフトコロイド系とその集積化に関する研究を行い、これらの系における粒子間有効相互作用および構造形成(結晶化および相図)に関して明らかにした。また、高分子-微粒子(ナノ粒子)複合体の秩序化は、微粒子表面における高分子鎖のグラフト密度が多い場合に、特定の粒子濃度領域において起こる事が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体材料中に共鳴粒子が埋め込まれた弾性複合材料の振動特性について、計算機シミュテーションの立場から明らかにしている。この分野における従来の先行研究の多くは、主に一次元系の解析に留まっていたのに対して、本研究では三次元複合構造における振動特性に関する研究を行っており、任意の周波数領域における複数のバンドギャップの導入が可能である事を示している。また、球状ポリマーブラシと呼ばれるソフトコロイド系とその集積化に関する研究を行い、その特異な構造形成の振る舞いについて明らかにする事に成功している。一連の研究により今後、音響メタマテリアル複合材料、および新たな種類のフォノニック結晶材料における特性解明と応用に寄与する事が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における、今後の推進方策は下記の通りである。(1)ソフト・フォノニック結晶における弾性波の伝搬特性について、詳細な解析を行う。特に、H29年度の研究成果で得られた特異な構造を有する材料における研究を推進する。(2)本研究で研究対象としている音響メタマテリアル材料について、そのバンドギャップ制御に関する研究を更に進める。(3) 開発を行った一連のソフトウェアに関して、GPU搭載スパコンで大規模な数値計算を実現するために必須となるマルチGPUプログラミングへの対応およびチューニングを行う。Intel Xeon Phi を搭載したスーパーコンピュータへの対応も行う予定である。
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