2018 Fiscal Year Research-status Report
フォノン工学におけるメタマテリアル複合材料の応用に関する計算科学的研究
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16K05038
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
寺尾 貴道 岐阜大学, 工学部, 教授 (40271647)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大規模数値シミュレーション / メタマテリアル / ソフトマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、主に下記の内容に関する研究を行った。(1) 前年度までの研究に引き続き、固体材料中に共鳴粒子が埋め込まれた弾性複合材料について、より定量的な観点から詳細な研究を行った。また実際のシミュレーション研究においては、GPUを搭載したスーパー・コンピュータにおいて大規模な数値計算を行うのに適したソフトウェアへの対応を行った。(2) ソフトコロイド系の微粒子集積化によって創製される材料における構造形成、および微粒子間の有効相互作用の性質について明らかにした。高分子を付加した微粒子系における粒子間相互作用は、一般に高分子鎖の長さに依存する。この様な系においては、高分子鎖の間における排除体積効果により微粒子間に斥力が働く(その結果、コロイド分散系の安定性に寄与する)事が知られている。しかし、付加する高分子鎖が長い系では、高分子鎖を構成するモノマーがより自由に動けるため、いわゆる枯渇相互作用によって微粒子間の有効相互作用に引力が発生すると考えられる。この様な描像は、微粒子表面に付加した高分子がlinear polymerの場合であるが、分岐高分子の場合は異なる振舞いを示す可能性があるという観点から研究を行った。一連の研究で得られた内容は、本研究課題で扱っている材料における弾性波の伝搬特性や、バンドギャップの制御等に関しても有力な知見を与える事が期待される。(3) 上記(1)(2)に関連する研究として、微粒子集積化材料全般に適用可能である独自の構造解析手法に関する開発を行い、その有効性について数値的に示した。一連の得られた研究成果については、英文の原著論文として公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体材料中に共鳴粒子が埋め込まれた弾性複合材料、および様々なソフトコロイド結晶に関して計算機シミュレーションを行う事により、系の物理的性質に関する新たな知見を得ている。また、関連する研究分野における広汎な問題に適用可能である、独自の解析方法の開発にも成功している。一連の研究により、メタマテリアル複合材料の特性解明、およびその応用に寄与する事が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における、今後の推進方策は下記の通りである。(1) 平成30年度までに開発したソフトウェアを用いて、より複雑な系に関して大規模なシミュレーション解析を行う。具体的には、弾性波の透過特性および減衰特性に関する解析を行う。得られた結果より、従来の研究と比較してより高性能なメタマテリアル複合材料を開発する際の設計指針が得られる事が期待される。(2) 上記の問題に関連して、メタマテリアル複合材料におけるバンドギャップの広帯域化に関する研究を行う。
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