2017 Fiscal Year Research-status Report
乱流特性スケールを反映した接続関数の導入による高性能ハイブリッド乱流モデルの構築
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16K05042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安倍 賢一 九州大学, 工学研究院, 教授 (20315104)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 計算力学 / 乱流モデル / LES / RANS / ハイブリッドモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で明らかとなった以下の3つの項目,すなわち(1)LES/RANSハイブリッドモデルの接続関数のパラメータとして,コルモゴロフスケールが有用であること,(2)本研究者が過去に開発したLES用のSGSモデルが複雑乱流場でも適切に機能すること,(3)これまでの知見を活かした高性能非線形1方程式RANSモデルを新たに開発したこと,を踏まえ,これらを適切に融合した新たなLES/RANSハイブリッドモデルを構築した. この新しいモデルを基本的な流れ場である平行平板間流れに適用して,その予測精度の高さと格子依存性の低限度を確認した.さらに,非等方モデルを適用することにより,従来モデルで問題となっていた平均速度分布に現れる段差(ダブルバッファ)を大幅に低減することができることがわかり,その理由を計算結果を詳細に考察することにより明らかとした. 今後は,本モデルをより高いレイノルズ数の乱流場に適用して予測性能を確認し,本来の応用先である航空機や自動車周りの流れ場に対する優位性を示していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の現象解明により得られた知見を活用して,新しいLES/RANSハイブリッドモデルを構築することができた. また,新たに提案したモデルの基本性能を検討した結果,当初の計画通りのパフォーマンスが得られることを確認した. さらに,今年度は得られた結果を学会発表のみならず論文執筆にまでつなげることができ,研究活動としては概ね順調に進んでいると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
繰越金も有効に利用して計算機のリソースをさらに増強し,より大規模かつ多くのテストケースが同時に実施できるように計算機環境の整備・拡充を行う. そこで得られた計算結果を利用して,より複雑で高レイノルズ数の乱流場に対する本モデルの予測性能を詳細に検討し,必要に応じてさらなるモデルの高性能化を図る.
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Causes of Carryover |
(理由)当該年度においては,本研究を進めるために最も重要な大規模計算を行うためのスーパーコンピュータの使用料に関して,学内のスーパーコンピュータの入れ替えがあり,当初予定した程の経費が必要とならなかった.また,論文執筆を行う一方で国際会議等への参加がなかったために,海外出張用に計上した旅費が不要となった.さらに,今年度については消耗品や謝金についても特に必要なかったために,結果的に繰越金が生じた. (使用計画)今回生じた繰越金については,次年度予算とあわせて最近規模が大きくなってきた計算の実施に必要となるスーパーコンピュータの使用料に充てる予定である.
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