2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05128
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
井川 治 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (60249745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 対称三対 / Hermann作用 / 超極作用 / 対称空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 複素旗多様体の二つの実形から定まる対合が可換のとき,対称三対が定まる.これら二つの実形が離散的に交わるための必要十分条件を対称三対の言葉で記述した.二つの実形が離散的に交わるとき,その交叉を対称三対から定まるワイル群の軌道として表現した.さらに,二つの実形に対するZ_2係数Floerホモロジーを決定できた.この研究は入江博(茨城大学),奥田隆幸(広島大学),酒井高司(首都大学東京),田崎博之(筑波大学)との共同研究であり,現在,論文を執筆中である. (2) コンパクト対称対GとG上の対合σに対して,σ-作用と呼ばれるGへの作用が定義される.σ-作用は随伴作用の拡張である.σ-作用についても対称三対が有効に機能し,軌道空間や個々の軌道の性質が精密に調べられることが分かった.これに関してはTohoku Math. J.で出版予定である.さらに,Gの有限位数の自己同型写像の固定部分群Kに対して,Kのワイル群は自然にGのワイル群の部分群とみなせることが分かった.これは奥田と間下克哉(法政大学)との共同研究であり,論文を投稿中である. (3) コンパクト対称空間(の局所同型類)全体と非 コンパクト対称空間(の局所同型類)の全体とは双対性により一対一に対応する.重複度付き制限ルート系からコンパクト対称空間(の局所同型類)が定まるから,コンパクト対称空間,非 コンパクト対称空間,重複度付き制限ルート系が三位一体の関係にあると言える.これを拡張して,可換なコンパクト対称三対,半単純擬リーマン対称対,重複度付き対称三対が三位一体の関係にあることを示した.これを応用して,Bergerによる半単純擬リーマン対称対の分類を再証明することができた.この結果は,笹木集夢(東海大学),馬場蔵人(東京理科大学)との共同研究であり,現在,論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記上記研究業績の概要 (2)の奥田,間下との共同研究の内容は,当初,対合に対して成り立つと予想し,研究計画をたてていた.実際には,対合が有限位数の自己同型まで拡張され,予想以上の成果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
上記研究業績の概要 (1), (3)に関する論文をまとめ投稿する.上記(1)の研究をさらに発展させる.具体的には二つの実形から定まる対合が可換でない場合にも結果を拡張する.上記(3)の研究をさらに発展させる.たとえば,Harvey-Lawsonの扱ったリーマン幾何における素性の良いキャリブレーションの不等式とMealyの扱った擬リーマン幾何における素性の良いキャリブレーションの逆向き不等式を統一的に眺め,さらに拡張できることが期待される.
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Causes of Carryover |
計画していた出張が校務と重なり行けなくなったため次年度使用額が生じた.次年度の旅費に使用する予定である.
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