2022 Fiscal Year Research-status Report
作用素平均を用いた作用素不等式の研究とその量子情報理論への応用
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16K05181
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 公智 前橋工科大学, 工学部, 教授 (00510702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 作用素不等式 / 作用素平均 / 作用素単調関数 / 作用素エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ヒルベルト空間上の有界線形作用素を扱う.その中でも,特に作用素不等式や作用素平均に関する研究,それらの応用としての量子情報理論や作用素エントロピーの性質に関する研究を行っている. 2つの実数あるいは作用素の重み付き平均として相加平均,相乗平均,調和平均が知られており,これらの拡張として重み付きHeron meanやPal, Singh, Moslehian, Aujla (2016)による重み付き対数平均が知られている.これまでの本研究の成果として,重み付き平均の定義について重みをパラメータとするpathとみなす立場から精査し,Palらの重み付き対数平均や重み付きHeron meanを含む一般化を与えた.そのことにより,新たに重み付きHeinz meanを導入し,重み付きHeron meanや重み付き対数平均との関係を示すことができた.また,最近の研究で,これとは異なる重み付き平均の一般化を与えることにより,重み付きLehmer meanや本研究の中で新たに導入された重み付きHeinz meanなど,いくつかの平均の間の関係を示すことができた.そして,新たに導入した重み付き平均の一般化とBarbour pathと呼ばれる作用素単調関数との間に関連を持つことも示すことができた. 令和4年度(2022年度)は,後者の結果について精査し,前年度から作成を行っていた論文を完成させた.この論文は論文雑誌Annals of Functional Analysisに投稿され,掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,具体的な研究項目として次の3点を掲げている.1. 作用素平均と関連した新たな作用素不等式の開発,2. 作用素エントロピーの性質についての研究,3. 量子情報理論の作用素論的基礎付け. 令和4年度(2022年度)は主に1に関する研究成果をまとめることができたものの,学内の学科再編に伴う業務の負担が増大したため,新たな成果を得るための研究に遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,前年度に引き続き,異なる作用素平均の間の関係を調べること,作用素エントロピー,作用素ダイバージェンスやそれらと関連する量について調べることに取り組む.今年度は,これまでの研究結果を精査し,新たな角度からの研究に取り組む予定である. 本研究で得られた結果については,論文雑誌に投稿する.また,日本数学会年会・秋季総合分科会や京都大学数理解析研究所で行われる研究集会等で発表を行う.令和5年度(2023年度)は,これまでに得られた結果や新たな成果について,可能な限り学会等で発表を行うことを予定している.これらの研究活動の遂行のため,書籍の購入,論文掲載料,旅費等の経費を使用する.
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Causes of Carryover |
(理由) 令和4年度(2022年度)は,コロナ禍であったことと学内業務で多忙であったことにより海外の学会等に参加できず,支出予定であった旅費の一部が使用できなかった.そのため,残額は次年度の学会等への参加や論文掲載料等として使用することとした. (使用計画) 日本数学会年会・秋季総合分科会や京都大学数理解析研究所で行われる研究集会に参加する等,学会や研究集会参加のための旅費として使用する.また,論文掲載料,書籍や文具等購入のための物品費として使用する.
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Research Products
(1 results)