2016 Fiscal Year Research-status Report
ウェーブレット解析による変数係数を持つ波動方程式への超局所解析的応用
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16K05223
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 保 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90301077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 邦彦 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (00026262)
石渡 聡 山形大学, 理学部, 准教授 (70375393)
久保 隆徹 筑波大学, 数理物質系, 講師 (90424811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / ウェーブレット / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に以下のように偏微分方程式とウェーブレットに関連した研究を行った。
◎双曲型方程式について:空間変数を係数に持つ波動タイプの方程式に対する初期値問題を考察した。通常、双曲型の場合は有限伝播性より係数部分は局所的に制限することが可能であり、大域的には扱われてこなかった。今回、無限遠方でのみ0に近づくような係数が解の減衰度に影響することを発見し、詳しく研究を行った。またこの問題は同時に、原点で退化するような係数が解の退化に影響する問題へも結びついているので、応用上も興味深い結果だといえる。 ◎ウェーブレットについて:時間周波数解析では不確定性原理により。窓が大きい時は高周波の解析が難しく、窓が小さい時は低周波の解析が難しいことがよく知られている。そのため、ガウス関数のように時間空間と周波数空間でバランスのとれた窓が望ましいとされている。従来の急減少関数の空間では時間空間と周波数空間での任意多項式減衰は捉えているが、指数減衰に関しては不十分である。そこで、Gelfand-Shilov 空間と呼ばれる時間空間と周波数空間で指数減衰する空間を導入して、ウェーブレット変換の連続性(有界性)を詳しく研究した。また、得られた有界性を示す不等式の最適性を示す具体例の構成にも成功した。
その他、今後の本研究に役立つことを期待して、画像解析で有効な手段とされるラドン変換やFunk変換などに関する情報収集も行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた双曲型方程式に対する結果は、研究開始から投稿までが順調に進み、既に出版されることとなった。ウェーブレットに対する結果は、現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ウェーブレットも偏微分方程式も実用性も踏まえて、より実践的な立場での条件を課せて研究を行いたいと考えている。さらに、ウェーブレットの理論の発展が、他分野の発展にも上手く結びつくように関連性も含めて研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
購入を考えていた専門書が絶版であったため。および、招聘した外国人の旅費が想定した滞在期間よりも短かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
類似の関係図書を購入する。論文の掲載料に使用する。今年度の招聘する外国人の旅費に使用する。
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