2017 Fiscal Year Research-status Report
変分問題、最適化問題と非線形偏微分方程式の総合的研究
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16K05240
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
倉田 和浩 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10186489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | FitzHugh-Nagumo反応拡散系 / 変分問題 / 非線形シュレディンガー方程式 / パターン形成問題 / Quantum Waveguide問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
変分問題、最適化問題および非線形偏微分方程式に関するいくつかの研究を推進した。 (1) 梶原尭氏(首都大学東京)との共同研究で、3種のFitzHugh-Nagumo反応拡散系に付随する非線形変分問題の最小化解の安定性やエネルギー評価等を研究し研究成果をまとめた論文が国内学術雑誌Tokyo J. Mathematicsに掲載された。 (2) 連携研究者の神保秀一氏(北大)との細い領域上でのラプラシアンの混合境界条件下での固有値の漸近挙動の共同研究に関連して、境界の一部にNeumann窓をもつラプラシアンの第1固有値の漸近公式と最適化問題を研究した。 (3)前年度に本学大学院生であった石原洸徳氏および小森洋平氏らとの共同研究で得られた、非コンパクト距離グラフ上でのAllen-Cahn型方程式のヘテロクリニック解に付随する変分問題についてや、ペンダントグラフという非コンパクト距離グラフ上での非線形シュレディンガー方程式の解の漸近挙動に関する研究成果を研究集会で発表した。 (4)梶原尭氏(首都大学東京)との共同研究で、FitzHugh-Nagumo反応拡散系におけるへテロクリニック解に関する特異摂動問題に対して詳細なエネルギー漸近展開公式を得た。本学大学院生の石井裕太氏との共同研究で、空間1次元で空間非一様項をもつSchnackenberg数理モデルの定常解の構成と安定性解析を行い、特に安定性への効果を取り出すことに成功した。また、本学大学院生の片倉建貴氏との共同研究で、空間2次元帯状領域においてロバン境界条件下でのQuantum Waveguide問題でのエネルギー漸近展開公式を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パターン形成問題における定常空間パターンを変分的アプローチを中心に推進しているが、FitzHugh-Nagumo反応拡散系のヘテロクリニック解に付随するエネルギーの詳細な漸近公式を得ることが出来たこと、また今年度新たに、化学反応現象に現れるSchnackenberg数理モデルにおいて、空間非一様な係数を持つモデルに対し、スパイク状の定常パターンの厳密な存在証明とその安定性解析に成功し、新たな知見を得ることができたことは大きな成果である。さらに、細い領域上でのNeumann窓を持つ場合のラプラシアンの第1固有値に関する最適化問題や2次元帯状領域でのロバン型Quantum Waveguide問題での固有値の詳細な漸近挙動公式を確立することに成功するなど、一定の成果が挙がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているいくつかの研究テーマに関する研究成果をそれぞれ論文にまとめて、成果の公表に努めるとともに、研究集会等で研究の成果を発表していきたい。 また、FitzHugh-Nagumo反応拡散系やSchnackenberg数理モデルにおいて、空間非一様な係数がいかにパターン形成に影響を及ぼすのか、その効果を見極めるべくさらなる研究の推進を行なっていく。
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Causes of Carryover |
年度末における旅費使用計画で若干のあまりが出た。次年度の旅費として使用計画を立てている。
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Research Products
(5 results)