2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K05331
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
太田 信義 近畿大学, 理工学部, 教授 (90167304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子重力理論 / くりこみ群 / 漸近安全性 / 宇宙項問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、目標としている重力の量子論とその応用、検証に関して以下のような成果を得た。まず、宇宙論を考えたとき、宇宙初期のインフレーションや現在の加速膨張を説明するために、一般相対論を拡張する可能性が興味を持たれているが、その中でもf(R)重力が有力な理論と考えられている。私はその枠組みをさらに一般化し、f(R,R_{μν}^2)の形の理論を考え、その理論の量子論的な計算、とくに発散の構造について調べた。 また、くりこみ群を用いた量子論効果を取り入れた方程式には、重力の量子場をどのように定義するかについての依存性があることを発見し、その様子を詳しく調べた。 2018年9月と2019年3月にSISSAのPercacci教授を訪問し、共同研究を行った結果、非摂動的くりこみ可能な理論に対する制限についての結果を得た。この成果は現在論文として準備中である。 これらの成果は、2018年6月18日から6月20日にかけて東北大学で行われた国際研究集会Essential next steps for gravity and cosmologyにおける招待講演、7月30日から8月3日に京大基礎物理学研究所で開催された研究会Strings and Fieldsでの講演、8月5日から10日にベトナムのハノイで開催されたInternational Conference on Holography, String Theory and Discrete Approaches in Hanoiでの招待講演、9月11日から14日にクロアチアのフバール島で行われたOn a safe road to quantum gravity with matterでの招待講演、11月3-4日に行われた京都産業大学益川塾での講演、3月14日ー17日に行われた日本物理学会における講演として発表し、多くの興味を集めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、重力の量子論の定式化における様々な問題点の整理をし、それらを解決する方策を探るとともに、非摂動的にくりこみ可能な理論を制限することを目標としていた。これらの目標はほぼ達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
漸近的安全性により重力の量子論を構築していく上で残されている重要な問題のうち、非摂動的にくりこみ可能な理論をどの範囲にまで限ったら良いかという問題に目処がついてきた。今後は、くりこみ群を用いて、この理論が低エネルギー現象にどのような影響を持つのかを、くりこみ群方程式を低エネルギーまで積分することにより調べたり、またブラックホールや宇宙初期の特異点に対する効果など、物理的な結果を得て、実験、観測的な予言を行い、この理論を検証することを目指す。
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Causes of Carryover |
国際会議に何度か招待されたが、滞在費を先方が支出してくれるケースがあり、また、国内の研究会でも、大学の旅費を使うこともあったため、余裕が生じた。さらにいろいろな研究会や、研究者交流を行い、研究を進展させたい。
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Research Products
(12 results)