2018 Fiscal Year Research-status Report
核媒質中における中間子の精密研究と強い相互作用の対称性
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16K05355
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
比連崎 悟 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60283925)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | π中間子 / η中間子 / η(958)中間子 / 中間子原子 / 中間子原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、中間子-原子核束縛形を対象にした強い相互作用の様相に関する研究を発展させることによって、より精密で定量的な理解を目指している。今年度の研究実績としては、パイ中間子原子に関しては、理化学研究所で2010年に行われた実験の成果を共同研究として論文を公表することができた。さらに、理研でその後に行われた実験結果の精密な解析が進展している。今後も、理化学研究所、東京工業大学、鳥取大学との共同研究を通じて研究を進展させる予定である。 ドイツのCOSY 研究所で行われたイータ中間子原子核の生成に関しては、実験グループとの共同研究で実験結果から理論的に演繹されるイータ中間子の相互作用に関する研究を論文として公表することができた。イータ中間子の相互作用に関して強い制限がかかる可能性を指摘できた。 イータ(958)中間子と原子核の束縛状態に関しては、強い相互作用のために原子核が圧縮変形する可能性を理論的に指摘し、論文として公表が予定されている。今後は、より精密な構造の予想、および生成断面積に与える影響の評価、以前ドイツGSI研究所で行われた実験結果の評価に対する影響などを議論していく予定である。今後の実験計画立案等に有用な知見が得られると考えている。 最後に、反陽子原子からの中間子ー原子核束縛形の形成に関しても今年度に新しく検討を始めた。原子核中の陽子や中性子と反陽子の消滅反応で生じる約2GeVのエネルギーを用いて、中間子を生成し、そのうちのいくつかを核内に留める反応は、現在までに定量的な計算がなされていないチャンネルが複数あり、今後の理論的な評価が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
π中間子原子、η中間子原子核、η(958)中間子原子核に関する研究が順調に進んでいる。2019年度中にも新しい結果が公表できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで進めてきたのと同様に、ペースを落とさずに順調に成果を上げていきたい。理論的な研究内容と実験研究者との共同研究を重視して研究を発展させてゆく。
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