2019 Fiscal Year Research-status Report
核媒質中における中間子の精密研究と強い相互作用の対称性
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16K05355
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
比連崎 悟 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (60283925)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | π中間子 / η中間子 / η(958)中間子 / 中間子原子 / 中間子原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、原子核と中間子が近接して存在する系において、強い相互作用の新しい知見を得ることを目的としている。特に、以前の研究よりも定量的で精密な情報を得ることを目指している。今年度の研究実績としては、π中間子原子に関しては理化学研究所で2014年に2回目に行われた実験結果の精密な解析を進展させた。理研、東工大、鳥取大との共同研究を更に進展させて、2020年度中に成果を論文として公表することを計画している。 η中間子原子核に関しては、実験グループとの共同研究から、軽い原子核に束縛されたη中間子が、複数(2個もしくは6個)の光子に崩壊する過程を研究し実験結果の解釈に関して論文を公表する事が出来た。 η(958) 中間子原子核に関しては、強い相互作用によって原子核が変形する可能性を、相対論的平均場理論を用いて理論的に指摘し、論文として公表する事ができた。今後は、生成断面積に与える変形の影響に関しても定量的に研究を進めたい。 K中間子と原子核の系に関しては、K原子の状態に現れる強い相互作用による斥力的な準位シフトの起源として、ポテンシャル的な記述においては、吸収効果(ポテンシャルの虚部)が本質的に重要であって、核の内側に存在するK核状態とのレベル反発によるグローバルな解釈は難しい事が示された。この結果も2020年度中に論文として公表を目指している。 昨年度から開始した反陽子原子からの中間子-原子核束縛系の生成に関しては、2020年度に更に検討をすすめ、核内に束縛される中間子が反跳を受けない運動学での生成過程を検討したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
π中間子原子、η中間子原子核、η(958) 中間子原子核に関する研究等が順調に進んでいる。次年度も新しい成果が公表できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までと同様に、理論的な研究成果をあげることを中心に実験研究者との共同研究を重視して研究を進める。2020年度は本計画の最終年度であるので、各中間子-原子核系に関する研究成果をまとめられると良いと考えている。
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