2016 Fiscal Year Research-status Report
3つの系統的アプローチの有機的な組み合わせによる様々な重力理論の検証
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16K05362
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 重力理論 / ダークエネルギー / 宇宙論 / インフレーション / 素粒子統一理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
アインシュタインが一般相対性理論を発表して100年以上になるが,その間,多くの実験・観測によりその理論の正しさは年々確かめられてきている。それにもかかわらずダークエネルギーなどの宇宙論の新しい謎やミクロ・スケールでの重力の基本的問題などを解決しようと,次々と新しい重力理論が提唱されている。どの重力理論が本当に正しいかを判断するには,個々の重力理論をひとつひとつ検証していくより, 提唱されている理論を系統的な方法で解析するのがより効率的で,適切であると考える。本研究では3つの系統的な手法([I] 有効理論的アプローチ、[II] 基礎理論的アプローチ、[III] 一般相対論的アプローチ)を提案し,その手法を有機的に組み合わせ, 宇宙の加速膨張の説明やインフレーションモデルの適否などの総合的な観点から様々な重力理論の検証を行う。
初年度の2016年度は、[II]の基礎理論に基づくこれまでのモデルの再解析を行うことから始めた。(I) インフレーションに関しては、素粒子標準理論を基礎にしたヒッグス・インフレーションの再解析を行い、従来の2つのモデルの組み合わせたハイブリッド・ヒッグス・インフレーションを提唱した。その解析法としては、[III]の一般相対論的アプローチを用いるため、disformal変換によりアインシュタイン重力の形に書き換えることで解析を行った。このモデルは、計画されている観測計画でスカラー・テンソル比(r)が発見された場合には、観測に合うモデルを与える。(II) ダークエネルギー問題に関しては、素粒子統一理論の現象論的モデルと考えられているDBI理論を拡張したD-BIonicモデルを解析し、物質との結合を考えることで宇宙の加速膨張だけでなくダークマター量との比(coincidence problem)も説明可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの系統的な手法のうち[II] (基礎理論的アプローチ)と[III] (一般相対論的アプローチ)の有機的な組み合わせによる研究成果を得たこと、また、学術論文を5報出版し、2回の国際研究集会でも招待講演としてその成果を発表していることなどから、当初の予定通り研究がうまく進んでいることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的にはこれまで計画していたとおりに研究を進める。但し、2016年度は9月の学内の業務が忙しく予定していた長期の海外出張を取りやめたが、次年年は当初計画していたGibbons教授達との議論をするため、3週間程度ケンブリッジ大学への研究出張を行う予定である。 また、[I]の有効理論的アプローチに関してはその手法も含め、本年度から具体的な研究をスタートする。
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Causes of Carryover |
今年度は9月の学内の業務が忙しく当初計画していた長期の海外出張を取りやめ、次年度に回したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Gibbons教授達との議論をするため、3週間程度ケンブリッジ大学への研究出張を行う予定である。
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Research Products
(14 results)