2018 Fiscal Year Research-status Report
シンクロロック法を用いた二次元フーリエ分光装置の開発と多粒子間相互作用の研究
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16K05399
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小川 佳宏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50372462)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 2次元フーリエ分光 / フーリエ分光 / 四光波混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元NMR法のアナロジーとして近年盛んに研究されている二次元フーリエ分光法は、優れた測定手法にも関わらず、その実験の難しさから物性領域においてそれほど研究が行われていない。本研究の目的は、シンクロロック法を用いることで、容易に高精度で行える二次元フーリエ分光測定法を確立することである。 二次元フーリエ分光測定では,相対位相の決まった光パルス列を試料に照射する。今回行ったシンクロロック法では,音響光学素子を用いて周波数ラベリングを行うことで光パルス列の制御を行った。干渉計からの光パルス列の一部をロックインアンプの参照信号とすることで,干渉計の揺れの影響を受けずに,信号光の電場振幅と位相を直接測定することが出来る。 これまでの研究から,二次元フーリエ分光測定を上記の方法で行えることを実証することができた。この過程で,シンクロロック法とヘテロダイン干渉法を用いて容易に光電場の振幅と位相を測定できるという利点を生かすことで,様々な干渉測定が行えることに気づいた。昨年度は,可視光領域のフーリエ分光がシンクロロック法をもちいてに行えることをRb原子ガスを用いて実証した。 本年度は,光電流をプローブとすることで,可視光領域でのフーリエ分光測定を行えるかどうか検証した。入射パルス列の時間間隔と相対位相に依存して,光電流信号が変化することから,パルス列を走査することで,試料の光吸収プロセスを知ることができる。試料としてバルクの太陽電池材料を用い,試料の吸収と屈折率に対応する複素電気感受率スペクトルを測定することに成功した。今後は引き続き本手法を用いて太陽電池材料の物性測定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,共焦点顕微鏡を作成し単一の半導体量子ドットにおいて二次元フーリエ分光測定を行う予定であった。しかしながら,シンクロロック法を用いることで,光電流をプローブとして可視光領域においてフーリエ分光測定を容易に行えることが分かったことから,こちらの実証実験を優先して実施した。今年度は,試料としてバルクの太陽電池材料を用いた。光電流のヘテロダイン干渉信号をシンクロロック法を用いて測定した。干渉計を走査することで光電流のインターフェログラムを取得しフーリエ変換を行うことで,試料の吸収と屈折率に対応する複素スペクトルを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から,シクロロック法の有用性を追求していくという方針で研究を推進してきた。これまで,試料の透過光の振幅と位相を測定することで,可視光領域のフーリエ分光を容易に行えることと,試料の光電流を測定することで,複素電気感受率スペクトルを容易に得ることができることが分かった。太陽電池材料はクリーンエネルギーという観点から重要な材料であるので,引き続き太陽電池材料での複素スペクトル測定を行っていく。
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