2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of impurities and defects on the magnetization plateau in multiferroic materials
Project/Area Number |
16K05420
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
黒江 晴彦 上智大学, 理工学部, 准教授 (40296885)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 反強磁性スピン鎖 / 不純物効果 / 磁化プラトー / 超強磁場物性 / ファラデー回転法 / パルス強磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、歪んだ四面体磁性鎖を持つマルチフェロイック物質 Cu3Mo2O9 の強磁場物性や置換効果を研究した。 Ni置換系の研究:磁性不純物として Ni を置換した (Cu,Ni)3Mo2O9 単結晶試料の育成に成功し、磁化測定と比熱測定を行った。ゼロ磁場での比熱測定で二次相転移による比熱の異常がブロードになり、不純物置換による系の乱れが確認できた。Ni 置換試料の相転移温度は母物質での値に比べて上昇した。これはZn置換系やW置換系での不純物置換による相転移温度の減少と逆の傾向であった。不純物として導入された S = 1 の Ni2+ イオンは単イオン異方性を持つため結晶内で特定の方向を向く。それが周囲の S = 1/2 の Cu2+ のスピンを揃える事により,磁気秩序の核を形成すると結論付けた。 飽和磁場までの磁化曲線の研究:ファラデー回転法による飽和磁場までの磁化測定を試みた。光学的手法による測定のため、単結晶試料に開いた直径数マイクロメートルの小さな穴が問題となり正しい測定が出来なかった。そこで、フラックス法や気相成長法を用いて単結晶育成を試みたが、ファラデー回転法による磁化測定ができる大きさの試料は育成できなかった。 Zn 置換系の研究:1.4 K での強磁場磁化曲線を測定し、全磁化の2/3の値を持つ磁化プラトーの開く磁場が不純物置換により減少する事が確認された。 2022年度の研究:実験に必要な液体ヘリウムを購入して磁化測定に備え、フラックス法による単結晶育成を試みていたのだが、必要なサイズの試料が育成できなかった。研究の一環として行った電場中磁化測定の結果を国際会議で発表した(Key note speaker)。
|