2018 Fiscal Year Research-status Report
2色円偏光強レーザー場における原子・分子電離過程の解明と制御
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16K05495
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
トン ショウミン 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (80422210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強レーザー / 時間依存密度汎関数 / 高速フーリエ変換 / 原子・分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.開発したFFTにより新しい時間依存密度汎関数計算方法をスーパーコンピューター(Oakforest-PACS [OFP])に移植し、その計算方法で赤外線強レーザー場における酸素分子電離過程を調べた。特に電離確率と軟X-線と赤外線強レーザー場偏光向きとの依存性や二つのパルスの時間遅延との関係を解明した。我々の計算でアメリカローレンス・バークレー国立研究所での実験結果を解釈した。本研究は国際共同研究の成果として,Physical Review Aに発表した。 2.新計算方法で、短パルス軟Xー線レーザーにより、重水素分子電離に伴う解離過程について調べた。スペインの理論グループの理論計算結果とアメリカの実験グループの観測結果と比べて、高い励起状態における電子相関の寄与を明らかになった。特に時間遅延の手法で、電子相関と原子イオン間距離の関係を初めて明らかになった。本研究は多国国際共同研究の成果として,Physical Review Aに発表した。 3.我々の計算手法で赤外線強レーザー場における原子X線電離過程について調べた。よく使われた強レーザー場の理論により、電離された電子のエネルギーが電子角度によらないが、我々の計算結果によると、離された電子のエネルギーが電子角度に依存することが明らかになった。その依存性と赤外線強レーザーの強度、パルスの幅、X―線との時間遅延との関係を詳しく調べた。その発見により、レーザー強度より精度の高い測定方法を開発することが可能になる。研究結果がPhysical Review Aにて掲載決定された。 4.我々の計算手法で楕円偏光強レーザー場中の原子電離過程について調べた。特に電離確率と電離と楕円偏光平面とのなす角の関係を詳しく計算した。その研究結果を2019年度国際電子原子光衝突学会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本科研費で購入した計算機(Xeon Phi 7250)を全面的に利用することと筑波大学計算科学センターのスーパーコンピューターを利用すること
(2)国際共同研究者との共同研究で最新情報を把握すること
(3)国際会議に参加し、他国の研究者との交流により最新情報を収集した
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Strategy for Future Research Activity |
(1)今開発しているFFTで新時間依存密度汎関数計算法を改善し,特に,交換相関 関数について、電子自相互作用を除く方法を探索し、より良い交換相関関数を開発すること。 (2)完成した新しい計算コードで、アト秒レーザーや強赤外線レーザーにおける二原子分子の動的過程を解明すること
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Causes of Carryover |
20円単に使えなかった。
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