2016 Fiscal Year Research-status Report
自転効果の緯度依存性と加熱の日周変動に注目した潮流海底境界層の乱流特性の研究
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16K05554
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋友 和典 京都大学, 理学研究科, 教授 (10222530)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 潮流 / 海底境界層 / 自転ベクトルの水平成分 / 緯度依存性 / DNSモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、潮流海底境界層の緯度および地球自転ベクトルの水平成分に対する依存性を3次元DNSモデル実験を行い検討した。緯度75度、45度、15度および、0度(赤道)に対して、それぞれ自転ベクトルの水平成分がある場合(以後、ケースFC)とない場合(ケースNFC)について、12時間周期の往復振動流を外力として実験を行った。 ケースNFCでは、研究代表者らがこれまで明らかにしてきたのと同様に、周期平均した海底境界層の厚さがおおむねu*/|σ-fs|でスケーリングされた。ただし、u*:摩擦速度、σ:潮流の角振動数、fs=2ωsinθ:緯度θにおける地球自転(角振動数ω)の鉛直成分(コリオリパラメータ)である。このケースでは、緯度0度の場合がいわゆるストークス層(非回転系での潮流境界層)にあたり、境界層が最も薄い。緯度が上がるとともに境界層は厚くなり、臨界緯度(潮汐周期と慣性周期が一致)に最も近い緯度75度での層厚は0度での十倍以上に達した。 ケースFCでは自転ベクトルの水平成分fc (=2ωcosθ)の効果によって全ての緯度で境界層が厚くなった。その影響はfsがゼロとなりfcが最も大きい赤道で顕著であり、境界層の厚さはケースNFCにくらべ2倍以上に達した。緯度が上がるとともに両ケースの差は急激に小さくなり、緯度15, 45, 75度それぞれでの層厚比は1.3, 1.1, 1.0程度であった。fcに対するこのような依存性については更に実験ケースを増やしてその詳細なメカニズムを明らかにする予定だが、低緯度での選択的な効果がうかがわれる興味深い結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
境界層特性の緯度依存性および自転ベクトルの水平成分の影響についての実験と解析は、当初計画に沿っておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度に得た自転ベクトルの水平成分の効果が赤道を中心とした低緯度で選択的に現れるという興味深い結果を、実験ケースを追加してさらに検討し、その緯度依存性を定量的に明確化する。同時に、2年目に予定していた日周加熱の効果についての実験を行う。
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Causes of Carryover |
計算機使用料の一部を別経費で賄えたこと、計算機がリプレースされて計算効率が向上したことにより、計算機使用料が少なくなったことがおもな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に使用していた既存のノートPCを更新するとともに必要なソフトを導入して、研究の実施を円滑化、効率化する予定である。
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