2016 Fiscal Year Research-status Report
サブストーム回復相における極域熱圏でのエネルギー収支の解明
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16K05569
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大山 伸一郎 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (20444424)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | オーロラ / 磁気嵐 / 熱圏 / 電離圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーロラ活動による極域の熱圏大気変動は磁気圏-電離圏-熱圏結合研究における重要な課題の一つである。近年の我々の研究により、サブストーム回復相の後半に現れる、形状変化が緩やかな東進性脈動オーロラパッチの明暗境界あるいは暗部に、既知の物理機構では理解できないほどの振幅を持つ下部熱圏風速が発見された。この運動エネルギーの増加量は電離圏対流電場がつくるジュール加熱エネルギー量の百倍以上であった。本研究活動の目的は,この風速変動の発生機構を探るべく、欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダー、高感度カメラ・ファブリペロー干渉計(FPI)等の光学装置による精密探査を実施し,電離圏微細構造と熱圏風速変動の共存の背後にあるエネルギー収支を理解するための理論研究を行い、測定結果と比較して風速変動の発生機構を解明することである。 脈動オーロラパッチ周辺の熱圏風速変動を含む複数イベントを解析し,これまでに2編の論文を発表した.これにより本現象の普遍性および発生する状況を示すことができた.しかし風速変動の発生機構が未解明である.パッチ周辺の電離圏精密観測を実施することで電子密度や電場の空間分布を把握することが本質的に重要と考えている.そこで,2016/9から2017/4にかけてFPI,EISCAT, 高感度カメラを用いた脈動オーロラパッチ測定を多数実施した.別予算で購入した高速撮影カメラを新たに設置し,より詳細なオーロラ輝度変動を測定することで,精密観測データを多数取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016/9から2017/4の冬期暗夜期間にノルウェートロムソに設置したFPI, 高感度/高速撮影全天カメラ, EISCATレーダーを用いて観測を実施した.FPIは下部熱圏高度を高速測定するモードを改良した下部・上部熱圏の双方を測定できる新しいモードを利用した.Oyama et al. (AnGeo, 2010; JGR, 2016)で示された結果の追試を行うことができるデータを取得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2016/9から2017/4の冬期暗夜期間に取得したデータを解析し,理論的考察を進める.冬期には光学装置・EISCAT・衛星を用いた観測実験を行う.随時,解析結果をまとめて学会・論文発表を行う.
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Causes of Carryover |
追加内定の連絡が2016/10末と遅かったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究活動で主に用いる観測装置の維持・運用のための北欧渡航費,学会発表旅費,観測データを保存するためのストレージ購入費に使用する予定.
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] サブストーム回復相における脈動オーロラパッチと下部熱圏風速変動2016
Author(s)
Oyama, S., Kazuo Shiokawa, Yoshizumi Miyoshi, Keisuke Hosokawa , Brenton J. Watkins, Junichi Kurihara, Takuo T. Tsuda , and Christopher T. Fallen
Organizer
第140回 地球電磁気・地球惑星圏学会
Place of Presentation
博多
Year and Date
2016-11-20 – 2016-11-23