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2016 Fiscal Year Research-status Report

前期三畳紀に形成されたチャート堆積全史の解明

Research Project

Project/Area Number 16K05572
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

相田 吉昭  宇都宮大学, 農学部, 教授 (90167768)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsニュージーランド / Arrow Rocks島 / オルアテマヌ層Unit 3-4 / 三畳紀前期 / 層状チャート / 珪質泥岩 / 堆積相解析 / 生物源堆積相
Outline of Annual Research Achievements

ニュージーランド北島のArrow Rocks島,オルアテマヌ層Unit 3からUnit 4の層状チャート及び珪質泥岩からなる三畳紀前期の層序断面(Dienerian-Spathian)を構成する30層準について堆積相解析を実施した。堆積相は珪質生物遺骸の含有量70-100%の遺骸密集層をG1相(とくに放散虫殻密集層G1-3相),珪質化石含有量30-70%の高珪質粘土層をG2相,珪質化石含有量10-30%の珪質粘土層をG3相,珪質化石含有量0-10%の珪質粘土層をE相と区分した。
チャート単層は単一の相から形成される場合もあるが稀であり,いくつかのマイクロ堆積相の組み合わせで構成されている事が明らかになった。生物源堆積相(G1+G2+G3相)が層位的に増減し,非生物源珪質粘土であるE相の割合が層位的に変動する。Unit 3(Dienerian)では生物源堆積相(G1+G2+G3相 )の割合は59.3-100%と高く,放散虫殻の生産量は高い事が示唆される。一方,Unit 4最下部~上部 (Dienerian後期)では,非生物源珪質粘土であるE相が優勢であり,定常的な遠洋性粘土の堆積が続く間に,生物源堆積相は段階的に60%から28.9%まで減少する。放散虫殻の生産量が量的に減少している傾向が認められる。Unit 4上部 (Smithian)では生物源堆積相は一時的に28.7-100%と高くなるが,Spathian前期には4.7-7.7%と低下することが認められた。
初年度はArrow Rocks島のオルアテマヌ層の層序断面(Griesbachian-Dienerian)について地質調査を行い,Unit2b から18試料,Unit 3から7試料を採取した.さらにMahinepua半島及びKapiti島の地質調査を実施して,三畳系の岩石試料を採取した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.Arrow Rocks島の三畳紀前期の層序断面であるUnit 3からUnit 4について,30試料の岩石スラブを作成して高精細SEM観察を行い,チャートや珪質泥岩を構成する堆積相をG1, G2, G3,E相の4区分に識別することができた。
2.Unit 3は放散虫殻の密集層からなるG1-3相の割合が高く,一方Unit 4では放散虫殻をほとんど含まない粘土基質からなるE相の組み合わせからできていることが明らかになった.また放散虫殻を多産する生物源堆積相(G1 +G2+G3)はUnit 4の下部から上部にかけて継続的に減少して行く傾向が認められた。
3.非生物源である砕屑性粘土相(E1+E2)はUnit 4の全体を通じて卓越することが明らかになった。
海綿骨針はUnit 4全体を通じてほとんど産出しない。
4. Arrow Rocks島の三畳紀前期の層序断面であるUnit 3からUnit 4にかけての解析結果は,2017年1月28日に早稲田大学にて開催された日本古生物学会第166回例会にて口演発表を行った。
5. 初年度に解析したUnit 3は3試料のみであったが,新たな調査により7試料を採取することができた。一方,初年度に予定していたArrow Rocks島の3日間の地質調査は,ニュージーランド北島における数年に1度という大雨による悪天候により1日間の調査のみ行うことができた.次年度の調査において,予定していたUnit 4最上部とUnit 5のチャート層の採取を実施したい。

Strategy for Future Research Activity

1.コノドント化石により年代が判明しているUnit2bからの三畳紀前期チャート7試料について,スラブ作成と堆積相解析を進めており,概査としての分析結果を6月に仙台で開催されるIGCP630の国際シンポジウムにてポスター発表を行う予定である。
2.Arrow Rocks島の三畳紀前期の層序断面であるUnit 2bからUnit 3の層状チャートについて,
チャートスラブ片を作成して堆積相・色測定・堆積学的記載および高精細SEM観察を行い,三畳紀前期Griesbachian-Dienerianのチャート単層の堆積断面の画像データを作成する。
3.Arrow Rocks島の三畳紀前期の層序断面Unit 2b, Unit4, Unit 5の地質調査を実施して,層状チャート層および珪質粘土岩層を採取する。
4.オークランド周辺のMotutapu島の三畳紀中期Anisianの赤色チャート層,三畳紀前期Spathianの黒色葉理チャート層は採集済みであり,これらのチャート層のチャートスラブ片を作成して堆積相解析を行う。
6.これらの研究成果は,国内の日本地質学会や日本古生物学会,また国際放散虫研究集会にて,発表し論文作成を行う.

Causes of Carryover

初年度に予定していたニュージーランド,ファンガロア地域のArrow Rocks島周辺の海外地質調査は,3月に別途予算で 11日間実施した。しかしながら,3月中のニュージーランド北島における近年に見られない悪天候の長期化により,Arrow Rocks島の調査は1日間だけしか実施することができなかった。研究計画に予定したオルアテマヌ層のUnit 4およびUnit 5のチャート層は採集できなかったが,Unit 2b層のチャート層を16試料採集することができた。このような状況の下で,Arrow Rocks島の本格的な調査を次年度に実施するために旅費の使用額を繰越すこととなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

1.次年度において,Arrow Rocks島の三畳紀前期のオルアテマヌ層の層序断面Unit 2b, Unit 4, Unit 5の地質調査含むニュージーランドの海外調査を15日間実施して,層状チャート層および珪質粘土岩層を採取する。
2. Arrow Rocks島に渡るための釣り船のチャーター代金がおよそ1日当たり8万円(NZ$950)と見積もられるため,Arrow Rocks島での調査5日間として40万円,またレンタカー借り上げ代金として残りを使用する予定である。

Remarks

宇都宮大学農学部 生物資源科学科 地質学研究室のwebページ中に「ニュージーランドの地質について」を紹介するバナーがあり,その中から「ニュージーランド地質調査隊の記録」にアクセスできる.これまでの科研費による研究成果について解説している.またスタッフのバナーから研究成果の論文や出
版した書籍についての情報にアクセスできる.

  • Research Products

    (7 results)

All 2017 Other

All Presentation (3 results) Book (1 results) Remarks (3 results)

  • [Presentation] 前期三畳紀のチャートギャップ期に形成されたチャート層の 珪質生物源堆積相について2017

    • Author(s)
      相田吉昭・草場研太・丸山 巧・山北 聡 ・ 竹村厚司・堀 利栄・Hamish Campbell・K. Bernhard Sporli
    • Organizer
      日本古生物学会第166回例会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2017-01-28
  • [Presentation] X線 micro-CTによるGlomeropyle属放散虫の形態と内部構造-その1 Glomeropyle sp. の解析2017

    • Author(s)
      新村憲人・益子佳公・石嵜美乃・岸本直子・相田吉昭(宇都宮大・農・地質)
    • Organizer
      日本古生物学会第166回例会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2017-01-28
  • [Presentation] X線 micro-CTによるGlomeropyle属放散虫の形態と内部構造-その2 Glomeropyle waipapaensis の解析2017

    • Author(s)
      益子佳公・新村憲人・石嵜美乃・岸本直子・相田吉昭
    • Organizer
      日本古生物学会第166回例会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2017-01-28
  • [Book] 大谷石の作る景観と地質-大谷層の成り立ちを探訪する2017

    • Author(s)
      相田吉昭・酒井豊三郎
    • Total Pages
      14-23
    • Publisher
      宇都宮美術館
  • [Remarks] ニュージーランドの地質について

    • URL

      http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology/column2.html

  • [Remarks] 宇都宮大学地質学研究室

    • URL

      http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology/geology.html

  • [Remarks] NZ調査隊の記録

    • URL

      http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology/nzresearch.html

URL: 

Published: 2018-01-16  

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