2017 Fiscal Year Research-status Report
カンラン石―メルト間のCaO分配の含水量依存性の解明と沈み込み帯のマグマへの応用
Project/Area Number |
16K05601
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 透 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40420492)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マグマ / ソレアイト / 玄武岩 / カンラン石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はカンラン石―メルト間のCaO分配のH2O量依存性に着目した含水量計を新たに構築し,これを秋田駒ケ岳火山の玄武岩に適用してマグマの成因を考察することを目的としている.H28度研究により,カンラン石ーメルト間のCaO分配係数を求める上で,メルトからの二次蛍光効果の影響は無視しても差し支えないことが判明した.そこで,既報のモデルをそのまま火山岩に適用することにした.H29年度は秋田駒ケ岳火山の男女岳溶岩・火砕丘(ON),小岳大焼砂堆積物(KO),小岳火砕丘・溶岩流(KDP),女岳1970年溶岩(MN)から合計17試料の玄武岩と安山岩を採取した.それらの試料について岩石薄片の作成と鉱物記載,石基の重液分離,XRFによる全岩と石基の化学組成の分析,EPMAによる斑晶と石基鉱物の化学分析を行なった.分析結果をカンラン石ーメルト間のCaO分配モデル(菅原, 2007),リキダス温度計(Sugawara, 2000),斜長石ーメルト間のCa/Na分配モデル(Ushioda et al. 2014)と酸素分圧計(Sugawara, 2001)等に適用し,マグマの温度-圧力-含水量-酸素分圧条件を明らかにするとともに,それらについて岩手火山と比較をした. KDP,KO,ONはT=1050-1100℃,1-1.5kbar,H2O=2.6-4.2wt%,delta QFM=+0.9程度と見積もられた.全岩化学組成の観点では秋田駒ケ岳火山は岩手火山と比較して分化が進んだ玄武岩が多いが,それに対応するように温度もやや低いことがわかった.また,秋田駒ケ岳火山の含水量は岩手火山と大きな違いはないが,岩手火山と比較してやや低酸素分圧な状態にあることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度研究では,カンラン石ーメルト間のCaO分配係数を求める上で,メルトからの二次蛍光効果の影響は無視しても差し支えないことが判明した.そこで,H29年度研究では秋田駒ケ岳火山において火山岩を試料採取し,化学分析を行うとともにモデルを適用し,環境推定を進めることができた.また,秋田駒ケ岳火山と同様にソレアイト玄武岩を主体とする岩手火山についてもモデルを適用し,秋田駒ケ岳火山との類似性や相違点を定量的に議論することができた.本研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 最近10年間の分配データのコンパイルを行い,カンラン石ーメルトのCaO分配,カンラン石飽和メルトのリキダス温度計のモデルを更新するとともに,含水量推定の精度を向上させる.
(2) 更新したモデルを秋田駒ケ岳火山と岩手火山の火山岩に適用し,再度環境推定を行う.両火山のマグマ溜まりの条件や分化過程について考察する.
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Causes of Carryover |
H29年度研究では,当初は長時間保持の高圧実験やLA-ICP-MSを用いた相平衡実験の合成カンラン石の外注分析を計画していたが,野外での試料採取とそれらの分析,環境推定を優先した結果,実験をすることができずに予算が余る結果となった. H30年度は最終年度であるため実験にはこだわらず,最近の文献をもとに分配モデルを改良することを優先したいと考えており,そのデータベース構築のための人件費として予算を使用する予定である.
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