2018 Fiscal Year Research-status Report
太陽系初期における含水天体の進化:始原的隕石と彗星ダストからの検証
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16K05603
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
小松 睦美 総合研究大学院大学, 教育開発センター, 助教(特定有期雇用) (50609732)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 隕石 / 太陽系 / 難揮発性包有物 / 水質変成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、太陽系初期の情報を保存する始原的隕石であるCRコンドライトに含まれるアメーバ状かんらん石集合体の形成過程についての考察と、はやぶさ2探査による小惑星表面観測の議論を行った。 難揮発性包有物の一種である、アメーバ状かんらん石集合体(Amoeboid olivine aggregates; AOA)は、かんらん石とCaとAlに富む鉱物から成り立ち、溶融などの二次的作用の程度が低く、形成直後の状態を保存する物質として知られている。本研究で分析を行ったYamato-793261中のAOAには、AOAを構成する通常の鉱物であるMgかんらん石、Ca輝石、Mg輝石に加えて、超難揮発性鉱物(Zr-Sc酸化物、Sc-Ca輝石)、シリカが含まれること発見し、その形成過程について考察を行った。その結果を天文観測及び平衡凝縮計算と総合的に議論をし、アメリカ電子ジャーナルPNAS誌に発表した。 さらに、CRコンドライト種全体の母天体の形成過程について考察を進めた。隕石分析と並行して、はやぶさ2探査の小惑星到着に伴い、表面物質の同定についての議論も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Y-793261に関する研究成果は、天文観測と隕石分析を横断する成果となり、アメリカ電子ジャーナルPNASに受理され、発表を行った。よって、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Y-792161の高温凝縮物の形成過程のさらなる詳細な条件の解明を試みるとともに、CR隕石母天体の進化についての分析結果を取りまとめ、論文として発表する。
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Causes of Carryover |
現在準備中の投稿論文が2018年度中に出版できなかったため、次年度論文発表にかかわる費用として支出する予定である。
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