2016 Fiscal Year Research-status Report
表面増強ラマン散乱明滅現象の二色同時超解像撮影による金属上分子配向変化の解明
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16K05671
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
北濱 康孝 関西学院大学, 理工学部, 助教 (00342775)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 1分子計測 / 表面増強ラマン散乱 / 明滅現象 / 冪乗則 / 超解像イメージング / 表面増強蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリ-L-リジン(PLL)と色素分子(NK-136およびNK-2523、SMP-9)において、表面増強ラマン散乱(SERS)および表面増強蛍光(SEF)明滅現象を観測した。冪乗則による解析を行い、以下の結果が得られた。銀表面への吸着が強いNK-2523で長波長すなわちSEFでの冪指数が一定であるのに、吸着が弱いSMP-9では短波長すなわちSERSでの冪指数が一定であった。SEFとSERSでは銀表面からの距離が異なるので、やや離れた状態で発現するSEFは吸着が強い場合に、密着した状態で発現するSERSは吸着が弱い場合に、銀表面での分子運動が同じ挙動を示すと考えられる。 冪乗則からずれ始める時間では、PLLではSERSの方がSEFより短くなり,色素ではSEFの方がSERSより長くなるという逆の結果が得られた。これは、色素ではSERSとSEFが同一発生源から起きているものの、その機構が異なるためと考えられる。 同時間における長波長と短波長での信号強度の値から閾値をひいたものをプロットすると、以下の結果が得られた。PLLでは短波長と長波長の信号強度が同時に強く出ることがなかったので,異なる発生源からの単一分子光学応答により明滅現象が起こっていることが考えられる。一方、NK-136では長波長の信号強度が強い時には短波長の信号強度も強くなっていることから、同じ発生源から明滅現象が起こっていることがわかる。このように非色素では異なる発生源により、色素では同一発生源から明滅現象が起こっていると考えられる。 NK-2523とSMP-9においては、プロットのばらつきが定量的に異なった。より安定に銀ナノ微粒子に吸着するNK-2523は分子のゆらぎによりSERSとSEFの寄与のばらつきが大きくなり、吸着が弱いSMP-9では直ちに脱離してSEFの寄与が小さくなるからと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀表面上の色素と非色素分子の明滅現象の二色同時動画撮影から、二つの冪指数の相関および二つの減衰時間の相関を調べて、銀表面に密着することで起きるSERSと、少し離れた状態で発生する表面増強蛍光(SEF)での分子の動き方の違いも検討できることがわかった。 さらに、同時間における長波長と短波長での信号強度の値を多数プロットしてその関係を調べるという、冪乗則以外の解析方法を編み出し、非色素分子のSERSおよびSEFにおいて1分子計測ができていることも確認できた。また、プロットのばらつきから、異なる置換基を持つ色素分子の銀表面からの脱着によるSERSとSEFへの寄与の違いを検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリ-L-リジン(PLL)や色素分子(NK-136)を用いた超解像顕微イメージング、すなわち各画素での強度をガウス関数でフィットすることによって、回折限界を超えたSERSおよび表面増強蛍光(SEF)活性部位の詳細な位置決定を行う。再発光した位置との距離と暗状態の継続時間の関係などを調べて、並進運動による明滅現象と配向変化などによる置換基ごとの明滅現象と区別する。
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Research Products
(10 results)