2016 Fiscal Year Research-status Report
LB法による水溶性タンパク・単分子膜の調製法開発-無機ナノシートとES法の活用
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16K05762
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
梅村 泰史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 教授 (70531771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 晧彦 東邦大学, 医学部, 非常勤研究生 (70001865)
宮内 良広 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 講師 (70467124)
平原 将也 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 助教 (90609835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機/無機複合薄膜 / LB法 / エレクトロ・スプレー法 / 無機ナノシート / 粘土ナノシート / 水溶性両親媒性分子 / アルキルアンモニウムイオン |
Outline of Annual Research Achievements |
無機ナノシートの分散液上に両親媒性分子を展開して有機/無機複合薄膜を調製するのに、従来法では両親媒性分子の溶液をマイクロシリンジから手で滴下していたが、本研究においてはエレクトロ・スプレー(ES)法を活用して高品質な薄膜、すなわち実験者の滴下条件に依存せず、かつ水溶性分子でも単分子膜化できる技術の開発を目指している。平成28年度には、1.ES法を利用して溶液を展開できる装置の組み立て、および2.水への溶解度が低い両親媒性アルキルアンモニウム陽イオンを用いた薄膜調製を行った。 1.について、まずシャーレに水をはり、水中の電極とマイクロシリンジとの間に電圧をかけてスプレーの状態を観察した。シリンジ先端からの噴射状態をビデオに撮って観察したり、水面にグラファイト粉をまいて粉の動きをみたりした。その結果、水面-シリンジ間距離を15mm、電圧は10kVに決定した。次にLBトラフにおいて下層液中の電極を固定し、シリンジ先端を水面間距離を保ちながら水平に移動できるように装置を組み立てた。実際に10kVの電圧をかけると配線から放電したり、トラフの水がこぼれたりするなど、数々の不都合が生じたが1つ1つ解決していき、現在はほぼ安定して実験を行うことができるようになった。 2.について、塩化オクタデシルアンモニウムの溶液を用いて実験を行った。水上では手で展開した場合とES法で展開した場合とで表面圧-分子面積(π-A)曲線に違いはなかったが、無機ナノシートである粘土ナノシートの水分散液上では明らかな差が見られた。噴射速度によるπ-A曲線の変化を調べたところ、噴射速度が遅くなるに従い曲線は大面積側へシフトし、ある速度で折り返して小面積側へシフトすることが分かった。基板上に移しとった薄膜について、IR分光法、XRD、XPS、AFMを用いて解析し、π-A曲線の挙動について説明できるモデルをたてた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ほぼ当初の計画通りに進んだ。すなわち、1.エレクトロ・スプレー(ES)法を活用できる装置の組み立て、2.従来法である「手まき」とES法との比較、および3.わずかに水溶性であるアルキルアンモニウムイオンと粘土ナノシートを用いたときの薄膜形成過程の解析が行われた。ただし、3.についてはサポート・データの収集が完了せず、次年度に残ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今までのところ研究の推進方策に大きな変更はない。今後、水溶性の高いアルキルアンモニウムイオンやキラリティーのある分子を用いて発展させていく予定である。ただし、当初の計画にはなかった次の1点については、早めに確認しておきたい。現在、アースに対して+10kVをトラフ中の下層液にかけて両親媒性陽イオンを含む溶液を噴射しているが、電圧を-10kVとしたらどうなるのか、根本的な疑問なので解明したい。
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Causes of Carryover |
研究代表者および各分担者において、年度末に比較的少額で予算を無理に使用するよりも次年度に繰り越して使用した方が、より有効に使用できると考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分の助成金と合わせてほぼ当初の計画通りに、低額の備品購入や試薬・器具などの消耗品購入、および旅費として使用する計画である。
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