2018 Fiscal Year Annual Research Report
Environmentally-benign synthesis of mandelic acid by electron-transfer umpoling using carbon dioxide as a carbon source
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16K05763
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
仙北 久典 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50241360)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二酸化炭素の固定化 / マンデル酸誘導体 / 有機電解合成 / ベンザルジアセテート / 環境調和型合成 / フローマイクロリアクター / 極性変換 / 電子移動反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度に行った反応条件の最適化により、反応溶媒にDMF、支持電解質にテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム(Bu4NBF4)、反応温度は0℃、陰極に白金板、陽極にマグネシウム棒を備えた一室型セルを用い、電流密度25mA/cm2による定電流電解を最適条件としたが、昨年度の基質検討の際、芳香環上にシアノ基を有する基質では過剰電解還元反応が進行することが確認された。本年度、反応条件を精査したところ、陽極に亜鉛を用いることにより過剰還元を抑制することができ、シアノ基を有するマンデル酸を単一生成物として得ることに成功した。シアノ基を有するマンデル酸誘導体は、従来のシアノヒドリンを経由する方法では合成が困難であり、当該研究の特長としてあげられる。また、芳香環上にエステル置換基を有する基質についても、亜鉛陽極が有効であった。一方、フッ素原子や塩素原子、臭素原子を有する基質の場合、反応性は基質によって大きく変化した。フッ素原子を有する場合は、当初の最適条件下でも反応は良好に進行し、γ-セクレターゼ阻害活性を示す化合物の部分構造を成す3,5-ジフルオロマンデル酸誘導体を相当するベンズアルデヒドより2段階で90%の収率で得ることに成功した。塩素や臭素原子を含む基質の場合は、亜鉛陽極を用いてアセトニトリル中で反応を行うことによりマンデル酸を単一のカルボン酸生成物として中程度の収率で得ることができた。また、同様の反応条件を用いることで、トリフルオロメチル基を有するマンデル酸ならびにインドール骨格を有するマンデル酸も合成することに成功した。これらの成果は、学術論文として報告し、既に掲載を認められている。 一方、フローマイクロリアクターを用いる合成では、陽・陰極に白金を用いたセルでマンデル酸の生成を確認することができたが、反応条件の精査までには至らなかった。
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