2018 Fiscal Year Annual Research Report
Repression of growth of pathogens on the basis of iron uptake systems
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16K05835
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 毅 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (30343742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酵素 / ヘム / 鉄 / タンパク質 / 反応機構 / 病原菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄はすべての生物において必須の元素である。本研究課題では、病原菌の鉄の獲得を阻害することで、新規な抗菌剤の開発につながることを期待する。病原菌の主な鉄源はヘムであり、ヘムを取り込み、分解し、鉄を取り出す。そこで、これらに関するタンパク質の機能について検討した。 コレラ菌のヘム分解酵素であるHutZの活性はpHに依存することが知られていたが、その機構は不明であった。蛍光エネルギー移動法により、二量体であるHutZのヘムとTrpの距離が1-2Å変化することがわかった。結晶構造解析には成功しなかったが、相同タンパク質の結晶構造をもとに二量体界面に存在するAla31が二量体相互作用に関与していると予想し、アミノ酸残基の体積を変えた変異体を作成した。その結果、体積を大きくするにつれ、界面が構造しか、活性が減少することがわかった。さらに、この界面の構造変化にはAla31の他にHis63, Asp132が含まれることが明らかにした。HutZはヒトを含む多くのヘム分解酵素が単量体であるのに対し、二量体を形成しているが、この二量体間の相互作用を微調整することで、活性を制御するという特徴があることがわかった。HutZ以外にのヘムの合成酵素であるフェロキラターゼにヘムが活性を制御すること見出した。フェロキラターゼはポルフィリンに鉄を挿入し、ヘムを合成する酵素であるが、CPモチーフと呼ばれるヘム結合共有モチーフを有する。二つ存在するCPモチーフのうち、鉄結合部位に近いCPモチーフにヘムが結合する結果、フェロキラターゼ内での金属イオンの移動が阻害され、鉄挿入反応が遅くなることがわかった。 以上の性質はコレラ菌などの病原菌がもつタンパク質に特有な性質をであることから、今後はこの性質を利用した阻害剤の開発などにつながることが期待される。
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Research Products
(5 results)