2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05845
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
野上 敏材 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (60402963)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フッ素 / 光学分割 / リパーゼ / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで本研究では、入手容易な含フッ素ビルディングブロックとしてブロモフルオロ酢酸エチルを用いて、光学活性体なポイントフッ素化糖の合成を検討してきた。酵素による光学分割の段階でジアステレオ選択性も発現するため、アルトロース型ポイントフッ素化糖についてのみ、対応する光学活性体が得られていた。昨年度は光学分割の際に生じるジアステレオ選択性を無くす条件を見出し、アルトロース型以外についてもポイントフッ素化糖を得るための手がかりを得た。さらに、今年度の検討によってポイントフッ素化糖の全収率が大幅に向上し、理論的に得られる4種類のポイントフッ素化糖について光学活性体合成の目途がついた。 集中的に検討した向山アルドール反応ではルイス酸の種類や当量、温度の効果を詳細に調べ、これらの反応パラメータが収率や選択性に与える影響を明らかにした。また、反応メカニズムを推定するための情報も得られた。さらに、酵素法を用いて光学活性体として得られる向山アルドール反応の基質であるアルデヒドから、ガラクトース型とタロース型のポイントフッ素化糖を得た。この結果、アルトロース型を除く3種類のポイントフッ素化糖を光学活性体として得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガラクトース、タロース、アルトロースに関しては対応するポイントフッ素化糖を光学活性体で得ることに成功したため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。今後は残るアルトロース型のポイントフッ素化糖について収率の向上や光学活性体の合成を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ルイス酸の検討によって向山アルドール反応の収率が向上したことから、更にルイス酸の検討を含めた向山アルドール反応の最適化を行い、アルトロース型ポイントフッ素化糖の収率向上を目指す。得られた光学活性ポイントフッ素化糖についてはチオグリコシドへと誘導し、酸化電位を測定することで、フッ素置換基がチオグリコシドの反応性に与える影響を調べる。また、電解グリコシル化反応を用いてポイントフッ素化糖を含むオリゴ糖の合成を行う。
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