2017 Fiscal Year Research-status Report
構造制御した新規ポリチオフェン開発と高性能熱電変換デバイスへの応用
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16K05920
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今榮 一郎 広島大学, 工学研究科, 准教授 (90293399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ポリチオフェン / ドープ率 / 電気伝導度 / ゼーベック係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機熱電変換材料の開発研究分野において、これまで全く検討されてこなかった分子構造およびドープ率と熱電変換特性との相関を解明し、高効率駆動できる熱電変換デバイスの材料開発に有益な分子設計指針を確立することを目的としている。 平成29年度は、電気化学的手法を用いてドープ率を制御した導電性高分子の熱電変換特性を測定し、ドープ率と電気伝導度およびゼーベック係数との相関について解析した。 具体的には、導電性高分子として位置規則性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT) を用いて、P3HT で被覆した ITO 電極を作用電極、白金線を対電極、Ag/Ag+ を参照電極とする三電極系において作用電極の電極電位を制御しながら、各電位におけるドープ率を酸化電流値から算出した電気量から計算した。その結果、電極電位の上昇とともに、ドープ率が上昇し、最終的には約20%となることがわかった。また、ドープ率と電気伝導度およびゼーベック係数との相関を調査したところ、ドープ率の上昇とともに電気伝導度が増加する一方、ゼーベック係数は減少するという典型的なトレードオフの関係が得られた。また、興味深いことにドープ率とゼーベック係数の関係を両対数プロットすると良好な直線関係が得られることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画であった「電気化学的にドープしたポリチオフェンの熱起電力(ゼーベック係数)および電気伝導度測定」という研究課題を予定通り遂行し、電気伝導度およびゼーベック係数とドープ率との相関を解明することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画どおり、平成30年度は様々な構造を有する電解質を用いた電気化学的ドーピングを行い、ドーパントイオンの分子構造が熱電変換特性に及ぼす影響を解析する。具体的には、アニオン部として過塩素酸イオンやテトラフルオロホウ酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、カチオン部としてアルキル鎖長の異なる四級アンモニウムイオンなどを有する電解質を用いる。なお、ドーピングによって得られる膜の自立性が損なわれ熱電変換特性の測定が困難になる場合は、自立性向上のために高分子電解質の使用も検討する。
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Research Products
(20 results)