2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel polythiophenes with well-defined structures and their application to high-performance thermoelectric devices
Project/Area Number |
16K05920
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今榮 一郎 広島大学, 工学研究科, 准教授 (90293399)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ポリチオフェン / ドーパントイオン / 電気伝導度 / ゼーベック係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機熱電変換材料の開発研究分野において、これまで全く検討されてこなかった分子構造およびドープ率と熱電変換特性との相関を解明し、高効率駆動できる熱電変換デバイスの材料開発に有益な分子設計指針を確立することを目的としている。 平成30年度は、様々な構造を有する電解質を用いた電気化学的ドーピングを行い、ドーパントイオンの分子構造が得られる導電性高分子の諸物性にどのような影響を与えるかについて調査した。 具体的には、ドーパントイオンとして一般的に用いられる過塩素酸イオンのような低分子アニオンだけでなく、側鎖にスルホン酸部位を有するポリスチレンやポリシロキサンを導入し、得られる導電性高分子の物性を調査した。ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)は、酸化率の制御を行った。その結果、酸化率の上昇とともに電気伝導度は直線的に高くなる一方で、ゼーベック係数は直線的に低下するという典型的なトレードオフの関係が得られることを明らかにした。また、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)の水分散液にジメチルスルホキシドのような高沸点溶媒を添加してから製膜した場合、電気伝導度が飛躍的に向上することを見出すとともに、この場合でも酸化率と電気伝導度、ゼーベック係数に良い相関があることを明らかにした。 低分子アニオンやポリスチレンスルホン酸などをドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)やポリ(ピロール)は粉末状で得られることが多く、膜状で得られても非常にもろく自立性に乏しいことが分かった。一方、側鎖にスルホン酸を有するポリシロキサンをドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)やポリ(ピロール)は、自立性が高く柔軟性にも富む高分子膜を与えることに成功した。
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