2016 Fiscal Year Research-status Report
塗布型有機太陽電池の耐候性に関する基礎研究-固体NMR法を中心とした劣化解析-
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16K05952
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福島 達也 神戸大学, 工学研究科, 講師 (70705392)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 耐候性 / 固体核磁気共鳴法 |
Outline of Annual Research Achievements |
塗布型有機薄膜太陽電池の耐候性に関する本研究は、応募者がこれまで研究を行ってきた固体核磁気共鳴(NMR)法をはじめとするその他の分光学的解析手法を用いて、有機太陽電池の分野で不足している光や熱などが光吸収層(有機膜)に与える影響、具体的には光電変換プロセスに関係するドナー/アクセプター(D/A)混合状態の変化(複合構造変化)、および光電変換材料の分子構造変化(材料劣化)を明らかにするものである。平成28年度は、固体NMR測定に必要十分なサンプル量を確保するため、キャスト法によりPCzDTBT/PC61BM混合膜を作製し、その混合膜の熱処理前後における構造変化を固体NMR法により解析した。13C CP(Cross Polarization)/NMR測定は電荷分離に関係するサブnmオーダーのD/A界面構造の変化を明らかにすることができ、実験室座標系における1Hスピン-格子緩和時間測定は励起子拡散長と密接な関係を有する数十ナノメートルオーダーの混合状態を明らかにすることができる。それら測定において、特に界面構造に関しては、状態変化の検出感度向上のため、フラーレンC60を混合膜に対して10 質量パーセントで加え、C60の144 ppm付近の鋭い共鳴線のシフトからD/A界面状態の変化を検討した。それらの測定の結果、熱処理前後において、界面および混合状態の変化を固体NMRで検出することが可能であることを確認し、その変化を明らかにすることができた。また、ブレードコード法による耐候性試験用サンプルの作製も検討した。また、有機太陽電池および有機エレクトロルミネセンスデバイスの特性向上、作製プロセスの検討にも取り組み、一部、学会発表も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、おおむね順調に研究が進展している。特に、固体NMR測定によるD/A界面および混合状態変化の同時検出に成功しており、今後の耐候性試験前後の状態変化解析につなげることができたことから、研究がおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調に研究が進展しており、今年度も当初の予定通りに研究を進める。ブレードコート法で作製したPCzDTBT/PC61BM混合膜に対して、耐候試験を実施し、そのサンプルに対して、固体NMR測定、フーリエ変換赤外分光法、および紫外可視分光法を用いて、光・熱による分子構造の変化を詳細に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
試薬購入費用のコストダウン、学会発表の際の経費、その他の費用の削減(具体的には、固体NMR装置の寒剤費用)といった複合的理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた研究結果・成果の発表に際して必要な、学会参加および論文掲載の際の経費として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)