2017 Fiscal Year Research-status Report
塗布型有機太陽電池の耐候性に関する基礎研究-固体NMR法を中心とした劣化解析-
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16K05952
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福島 達也 神戸大学, 工学研究科, 講師 (70705392)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / 耐候性 / 固体核磁気共鳴法 / 相分離構造 / 劣化解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず固体NMR測定用のサンプル作製、具体的には有機光電変換膜に対する光侵入長と固体NMR測定に適したサンプル量を確保することが可能な有機膜厚を考慮し、作製した。その際、当初の計画であるスピンコート法では測定に必要な膜厚を有する有機膜が得られなかったため、それが可能なブレードコート法による成膜を試み、最適な膜厚が得られる成膜条件の検討を行った。その結果、酸化インジウムスズ(ITO)付電極基板上に約2マイクロメートル厚の均一な有機膜の作製に成功した。作製したサンプルに関して、有機膜厚がマイクロメートルオーダーであるため、片面から光照射した場合、サンプルに対して十分な光照射を行うことが出来ない。そのため、本研究では不活性ガス雰囲気下のグローブボックス内でITO電極基板を上記作製したサンプルに貼り合わせ、UV硬化樹脂を用いて封止し、サンプル両面から光照射を十分に行うことが可能なサンプルを作製した。得られたサンプル群に対して、光照射装置で実験を行おうとしたところ、装置の故障により実施できなかった。今後、別の装置または修理後、光照射を行う予定である。また、塗布型有機薄膜太陽電池の作製時には光電変換材料の溶解性の観点からハロゲン溶媒が用いられる。環境負荷の観点から非ハロゲン溶媒の利用が社会的な要求として存在する。上記の有機薄膜太陽電池の耐候性検討と合わせて、非ハロゲン溶媒を用いた成膜が可能になる添加剤も合わせて検討した。また、有機デバイスの高性能化に関与する有機単結晶の作製をイオン液体を介して行うユニークな手法、有機焦電型センサの高機能化、有機強誘電材料に関する基礎研究も上記と合わせて進め、一部、学会発表も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、固体NMR測定用のサンプル作製は完了しているが、光照射実験に用いる装置の故障が起きたため、同実験および固体NMR測定が保留となっている。そのような状況下のため、他の分光学的実験、具体的には分子構造の変化を解析することが可能な光照射とFT-IR測定が同時に可能な装置を用いた実験の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は修理した光照射装置、または他の光照射装置を用いて光照射実験と固体NMR測定を順次行っていく。また合わせて、光照射とFT-IR測定の同時実験により分子構造の変化も明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
装置の故障により計画していた実験の一部が遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。差額は次年度の研究・検討・出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)