2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05982
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
才本 明秀 長崎大学, 工学研究科, 教授 (00253633)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 3次元き裂 / き裂進展 / き裂合体 / レーザ加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
任意の前縁形状を持つ平面的な複数の3次元き裂が、モードI負荷のもとで伝ぱして合体する様子を簡単にシミュレートすることができるメッシュフリー体積力法に基づくき裂伝ぱ解析システムを構築した。また、このシステムを用いてシリコン内部にレーザを集光させて作成した微小き裂群が次第に合体しながら拡大する様子を予測するための数値解析を実施した。また、シリコン内部にレーザを集光するとき、シリコン内部に生じる熱応力場を見積もるためにシリコン熱物性値の温度依存性を考慮した軸対象の伝熱・熱応力問題を支配方程式の差分近似により解析した。本研究のようにレーザ光が極端に集光すると、局所的には融点を超えるほどの温度上昇が生じると予測されるため、熱物性の温度依存性は無視できない。特に弾性係数の温度依存性は熱応力の評価で重要である。そこでシリコンの熱物性値の温度依存性については出版されている多くの参考文献を頼りに数値解析を実施した。本研究で得られた結果は3編の審査付きジャーナル(Key Engineering Materials および Journal of Multiscale Engineering)にて発表したほか、1件の国内会議でも講演発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度までに任意形状の3次元き裂が合体成長する様子を解析するシステムを開発する予定であったが、論文発表のレベルでは平面的な3次元き裂の合体シミュレーションシステムの開発までに留まった。しかし、任意形状のき裂問題を解析するために必要な理論の構築と検証は前年度までに十分に行われたので、30年度は実際のプログラムを作成して最終目標である任意形状き裂群の合体を含んだ成長シミュレーションシステムを開発する。また、そのシステムを用いて超高強度な平滑面をレーザ加工により作成するために必要な加工条件を導出する。これらに加え、共同研究先で実施されているシリコンウエハのレーザ加工における平滑面生成の実験データと本研究の知見とを総合することで、超高強度平滑面の創成技術の開発が30年度内に可能になると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
30年度は任意形状の曲面的3次元き裂が伝ぱする問題や、曲面的3次元き裂が合体する様子を効率的に解析できる体積力法に基づく解析システムを開発する。このシステムはこれまでの2年間の研究で構築されたメッシュフリー体積力法の長所を生かし、ある進展ステップにおけるき裂前縁形状を表す節点群のデータを与えるだけでき裂面を自動生成しながら高精度に応力拡大係数を解析するものである。システム開発のための基礎理論の構築と検証は29年度末までに終了しており、30年度当初からシステムの開発が順調に進んでいる。本システムは早ければ7月中に完成予定であり、その後実験データとの本格的な突合せを行う予定である。
|