2016 Fiscal Year Research-status Report
複雑系の三次元後流のマルチスケール特性を利用した流れの制御技術
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16K06067
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
李鹿 輝 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00253906)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 後流 / 渦励振 / PIV / ウェーブレット変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
流れ場に置かれた物体の後方には、渦を伴った後流が発生して非定常な流れになる。現実の多くの場面では、複数の物体が近接して後流が干渉することで複雑な流れになり、物体及び流体に振動を発生させることがある。本年度は、各種形状の物体が発生した3次元横・縦渦の構造を定量的に解明し、流れのエネルギー消散を明らかにした。下記の研究を行った。 (1)各種形状(円柱、四角柱や非対称柱など)の物体を作製し、その複数物体は平板模型に配列させる。物体群は2行2列と3行3列の配置において、物体の高さHと間隔Lを変化させた。(2)回流水槽の流速は0.2m/sとし、物体の周りの流れ場に対して、PIVを用いて瞬時速度の計測・可視化を行う。物体の形状、個数、高さ、間隔及び配置などは渦構造との関係を調べた。(3)本研究はウェーブレット変換を用いて、周波数―空間―時間において任意幅の周波数成分の三次元速度を解析し、各スケールの流れの構造を定量的に解明した。(4)単一物体や物体群から放出される渦の相互干渉によって誘発した渦励振現象について、発生条件・要素(物体のアスペクト比、物体の配列、間隔など)を特定した。 さらに、次のことがわかった。(1)水面振動の発生時は、下流側円柱後流でのS方向乱れ強さが大きくなる。(2)円柱配置によって後流の渦放出周波数が異なり、1.28[Hz]の周波数が下流側円柱後流を占める割合が高くなると、それとほぼ同じ周波数で水面に振動を生じさせる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)新たな高効率レーザー機器を使用するため、PIV計測実験の成功率が高くなった。 (2)新たなPIV解析ソフトを導入したため、流れの速度解析が速くになった。 (3)3Dプリンターを使用するため、各種形状(円柱、四角柱や非対称柱など)の物体(アスペクト比=4~10)の作製が速くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の基礎実験研究の結果を踏まえて新たな防波堤の模型を設計・製作し、実験・数値シミュレーションによる性能の評価を目的とする。 (1)3次元流れの数値シミュレーション 28年度の実験では高いエネルギー消散や大きな振動流現象を確認した物体の形状、高さ、個数及び配置に対して、3次元流れの数値シミュレーションを行う。実験が見えない3次元渦の構造及び渦の相互作用の過程を明らかにする。流れの数値解析ソフトはANSYS Fluentを採用し、LES(Large Eddy Simulation)によって流れ場を解析する。流れのエネルギーの消散過程及び流体抵抗も定量的に解析する。 (2)新たな防波堤の模型の実験研究 これまでの実験・数値解析から得られた高いエネルギー消散の物体形状、高さ、個数及び配置を用いて、防波堤の模型を作製する。回流水槽において検証実験を行う。PIVにより、各種物体を持つ堤防の海側の斜面と陸側の斜面が発生した横・縦渦の速度分布について計測する。流れエネルギーの減衰を評価し、最適な物体形状とその配置を調整する。
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