2017 Fiscal Year Research-status Report
熱先端流れを応用した気流システムのマイクロ領域の流れ場への適用に関する研究
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16K06069
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 裕昭 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10251753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 希薄気体 / 熱誘導流れ |
Outline of Annual Research Achievements |
分子の平均自由行程が系の代表長さに比べて無視できないような系で生じる熱誘導流れを利用したポンプシステムを構築し,ミクロな流れ場に適用するすることを目的として,研究を進めている。本研究で構築しているシステムは,片側の面ともう片側の面で熱の吸収率が異なる円板にスリットを設け,これを多数ガラス管に直列に配置し,円板に光を当てて円板周りに熱誘導流れを生じさせる構造になっている。本年度は,実験装置に対応した領域の3次元数値解析を行い,装置内で生じている現象の再現を試みた。その結果,円板の温度の低い面側から高い面側にスリット通して熱誘導流れが発生し,円板の前後で圧力が上昇することが確認され,円板にポンプ作用が発生することを確認した。また,円板間の距離,希薄度が発生する流れの流速(流量)や圧力上昇に及ぼす影響も調査した。熱誘導流れは,希薄度の高い領域で減少し,自由分子流で消滅することが知られているが,表面性状によっては,自由分子流中でも発生する可能性のあることを明らかにした。これにより,ポンプシステムの作動領域が拡張される可能性も示すことができた。実験では,円板に用いる材料が性能に及ぼす影響を調査し,装置の小型化を行う上で検討が必要となる希薄度の低い領域におけるシステムの性能を検証するために装置の改良を行ったが,圧力計の校正に手間取り十分な実験が行えず,有用な実験データが得られなかった。今後,詳細な実験を行い,計算結果と比較検討することで,本システムの実用性を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験装置の小型化に際し,本システムの希薄度の低い領域での性能を調べるために,実験装置の改良を行い,圧力計を新たに設置したが,校正に手間取ったために,実験が十分に行えなかった。しかし,校正の無事に終了したので,今後は必要な実験データが得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
圧力計の校正が終了し,実験が遂行できるようになった。計算で得られた結果と詳細に比較することで,熱ほふく流のポンプ作用を明確にし,装置の小型化ならびにミクロな流れ場への適用を検討して,研究を総括する。
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Causes of Carryover |
実験に使用する圧力計が,予定していた価格よりも低く抑えられた。次年度の実験の消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)