2016 Fiscal Year Research-status Report
自励振動による単分散液滴列の生成と表面での液膜生成機構の解明
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16K06073
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
真田 俊之 静岡大学, 工学部, 准教授 (50403978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 液滴列衝突 / 液膜 / 洗浄 |
Outline of Annual Research Achievements |
液滴の固体壁面への衝突現象は,塗装や冷却などの幅広い工業分野で見られる重要な物理現象であり,数多くの研究が行われている.その液滴衝突を利用した工業技術の1つに表面洗浄がある.噴流を用いた洗浄は古くより利用されているが,その気流に脈動や圧力変動を加えることにより洗浄効率が上がることが知られている.そのため液体噴流を用いる洗浄においても,液体を液柱として連続的に衝突させるよりも,液滴として衝突させ洗浄効率を上げる試みが多くなされているが,単一液滴の衝突現象に関する知見は十分にあるが,液滴が連続的に衝突する現象については知見が限られている. そこで本研究では,水とエタノールの液注および液滴列が円形平板に衝突した場合について,その液体流量および衝突させる平板直径を変更し,形成される液膜構造,特に跳水直径の観察を行った.その結果,液滴列の衝突によっても液柱と同様に跳水が観察された.その跳水直径は,液柱の場合と比較して液滴列衝突の方が,平板端からの影響がない場合には大きくなった.しかし,表面張力の小さな液体を使用した際には高流量域において液柱および液滴列衝突による跳水直径の大きさが逆転し,液柱衝突時の方が大きな跳水が形成された.また,平板直径を小さくすると,液柱衝突では平板端で液膜厚さが小さくなり跳水直径が急激に増加した.一方で液滴列衝突の場合,常流の厚さは液柱衝突ほど薄くはならなかった.これらの結果は液滴衝突時に液柱よりも高速水平方向流れが形成され,さらにその流れによって液膜内に複雑な流れ構造が形成されたことやSplashの発生の有無が要因であると予想する.これらの知見は,液膜厚さによって表面でのせん断応力分布が大きく異なるため,洗浄範囲に大きく関連すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要で示したように,液滴列を衝突させることによって,液柱と異なる構造が確認されたため.また液滴列衝突による,微細孔への液体侵入促進効果があることも分かってきており,さらなる進展が予測される.一方で予備実験によって制御手法には懸念が存在したため,圧力の印加方法を大きく変更する.
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Strategy for Future Research Activity |
実際の洗浄においては,凹凸がある表面を液体で満たし,化学的および物理的作用によって洗浄,その後乾燥させる.このような視点においては,表面の微細構造を短時間に液体で満たすことが重要となる.初年度の実験によって,液滴列が衝突した場合と液柱が衝突した場合において,液滴列の方が早く微細孔を濡らすことが実験で確認出来ている.そのため,その詳細物理について観察する予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定であった自励振動を気流を用いて発生させるためには,非常に高速かつ大きな構造物が必要なことが実験により明らかとなった.またロックイン現象が多く観察され,振動数の制御が困難であった.またそのような高速流では液体が微粒化されてしまい制御には程遠い結果となっため,振動方法を大きく変更した.そのため,レーザーフォーカス変位計の購入が不要となり次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
気流による予備実験の結果を活かし,圧力印加方法の工夫を行う.水中でも音波を印加可能なスピーカーおよびその音圧測定装置を購入し,実験を行う.
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