2016 Fiscal Year Research-status Report
軟質および硬質境界を有する狭小空間内のレーザー誘起気泡の崩壊・衝撃機構
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16K06092
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉本 康弘 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (00319039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結石破砕 / レーザー誘起気泡 / 医工連携 / 混相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路結石症にける結石破砕治療法には,一般的に体外衝撃波結石破砕術(ESWL)と経尿道的尿管結石砕石術(TUL)がある.ESWLは結石の位置や硬さによって破砕効果にばらつきがあり,破砕できても摘出することができないことや複数回の治療が必要になることがあることに対し,TULは結石を内視鏡で直接確認ながら光ファイバーから導入されるレーザーで砕石するので,ほぼ確実に結石を砕くことができるとともに破砕した破片を摘出することが可能である. TULにおけるファイバータイプのレーザーによる結石破砕のメカニズムについてはレーザーの直接照射による熱的な効果であるとの報告がある.一方,レーザーによって誘起される気泡崩壊による衝撃が重要な役割を果たしていると考えられ,著者らは固体境界への衝撃特性について検討を行い,好適な衝撃付加条件を提示してきた. 本報告ではファイバータイプレーザー誘起気泡の衝撃特性に及ぼす周囲流体の性質の効果について検討を行った.実際の治療時には冷却のため,破砕片および残存気泡の排出のために生理食塩水が用いられる.多くの場合,常温で用いられることが多く,効果的な結石破砕に対する液質の効果はあまり検討されていないようである.そこで経尿道的尿管結石砕石術(TUL)おける結石破砕メカニズムの解明および破砕効率の向上を目指し,ファイバータイプのレーザー誘起気泡の衝撃挙動に対する周囲水温の影響について検討を行った.その結果,(1)レーザー照射中は気泡のレーザー軸方向において曲率の大きな気液界面を有しながら成長し,水温の上昇に伴い形成される気泡は大きく成長する,(2)本研究の範囲では壁面衝撃の最大値はx=0.8-1mmの位置で計測され,水温Tw=312K(約40℃付近)の時に最大衝撃を得ることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結石を模擬した固体境界に衝撃力センサーを設置し、衝撃の計測ができた。特に周囲液体の性質(主に水温)が変化しても,気泡形成位置において好適な衝撃付加位置が存在することを示した。すなわち,空間的な検討は行えていないものの、それ以外の実験条件における傾向をつかむことができた。この知見より、限定した周囲液体の条件において、空間的な検討を効果的に行うことができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の体内を模擬した狭小空間および比較的軟らかい壁面近傍での挙動に関する研究は,それほど多くないようである. 平成29年度は尿管結石症治療における最適レーザ照射条件を明らかにするため,レーザ照射条件(ファイバ径および出力)および固体境界の影響(壁面までの距離および壁面の硬度)について検討する.特に2次元の固体境界に挟まれた空間を取り上げ,その狭小空間内での気泡挙動,壁面への衝撃作用を実験的に明らかにする。また,汎用CFDコードを用いて気泡挙動の解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
本学学内のシステム上の問題で3月に購買や請求などができない。したがって、軽微な消耗品費として1万円程度次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費としては軽微な金額であり、次年度の研究活動において適切に使用する見込みである。
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Research Products
(3 results)