2016 Fiscal Year Research-status Report
大気拡散風洞を用いた蛇行プルーム内部のライン画像計測による濃度変動特性のモデル化
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16K06097
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
小杉 淳 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60290673)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プルームの蛇行拡散 / 大気乱流拡散 / ライン計測 / 可視化計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,大気乱流拡散実験用風洞を用い,煙突などの汚染物質放出源近傍で観察される蛇行するプルーム(流煙)を再現し,詳細に解明されていないプルーム内部の濃度変動特性を明らかにすることである.研究方法は,プルームの蛇行拡散が観測できる流れ場を動的な乱流発送装置により形成し,その中に設置する点源を想定したノズルから空気と混合したトレーサ粒子を連続的に放出し,流れと直角方向のプルーム断面内の濃度情報をレーザービームで線状に可視化する.これをラインスキャンカメランカメラ(LSC)を利用して撮像(500~1000Hz)し,プルーム断面の濃度情報をトレーサの輝度値から算出することで濃度場の評価を行う.研究では,まず,既存設備である高速度カメラとレーザを用い,ライン計測にかかわる基礎実験技術の習得と問題点の抽出を行った.この研究結果は,機械学会北海道支部講演会(苫小牧高専)にて発表した.その後,LSCと安定性の高いレーザーを準備し,これまでの研究成果で明らかになっている,プルームの蛇行拡散が主体となる短時間拡散領域から,プルーム内部の相対拡散が主体となる長時間拡散までを再現できる,乱流レイノルズ数Rλ=230の場において,濃度場の評価実験を実施した.なお,実験はLSCのサンプリング周波数を500Hz,レーザ出力は60mW,計測時間は180secとした.計測はトレーサ放出口(ノズル径d=5mm)を原点に,流れ方向に20dから180dまでの9断面で行った.また,LSCから出力される180sec分の連結画像から輝度情報を抽出し,濃度評価を行うプログラムを開発した.実験の結果,平均濃度および,蛇行拡散,相対拡散が抽出でき,さらにプルーム内部の濃度変動や間欠率を算出できることも確認できた.ただし,蛇行拡散と相対拡散については平均化処理のアルゴリズムの決定ができず,今後検証していく必要が生じた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ライン計測実験において,当初利用予定だった既存のレーザシステムの安定性が悪く(±15),レーザ出力を実計測より高め,フィルターなどによる減光など様々な対策を施したが,定量実験が困難と見込まれたため,新たに高安定性のレーザ光源を準備した.この期間が実質的に3ヶ月以上にわたってしまったため,一様乱流場での評価実験を十分行うことができず,また,その後予定していた,せん断乱流の乱流場評価も実施できていない.実験計測系はほぼ完成しつつあるので,次年度はおおむね順調に実験を重ねていけるものと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度は,レーザとラインスキャンカメラが一体となったトラバースシステムを構築できず,別々にトラバースさせて,計測時に位置合わせを行っていたが,セッティングに時間を要し,精度上も問題があるので,次年度はトラバース装置をまず完成させる.2.その後,一様乱流場において,特に蛇行プルームが観測される乱流レイノルズ数Rλ=300以上の乱流場において,計測断面と計測時間を増やし,より詳細な濃度計測をおこなう.実験結果を解析しながら,不備・不足があれば随時実験を追加していく.3.一様せん断乱流場の特性評価を実施し,この中で拡散実験を実施して,一様乱流場との比較などをおこなっていく.4.得られた研究成果を,学会などで発表していく.
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Research Products
(1 results)