2017 Fiscal Year Research-status Report
スペクトル強度比を用いた3次元温度分布計測システムの開発
Project/Area Number |
16K06113
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鳥山 孝司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50313789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一宮 浩一 山梨大学, その他部局等, 名誉教授 (30037923)
舩谷 俊平 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50607588)
多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70251650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感温液晶 / 温度計測 / 画像処理 / 不確かさ |
Outline of Annual Research Achievements |
ハーフミラーを用いたカメラ2台体制の計測装置にて呈色温度範囲(色の変わる温度範囲)が10~20℃のコレステリック液晶を用い、その散乱光強度比から温度を求める手法の計測可能温度範囲、計測の不確かさ及び温度分解能について5℃から60℃の温度範囲にて1℃刻みで詳細に評価した。 405,420,436,442nmのバンドパスフィルターの組み合わせの中で最も単調増加もしくは単調減少する範囲が広いのは405,420nmの組み合わせであり、16℃から50℃までの34℃の温度幅で計測できる可能性が示された。また、420,442nm及び436,442nmの組み合わせでは、それぞれ23℃から53℃及び21℃から51℃で、その温度幅は29℃であった。この温度幅は405,420nmの組み合わせよりも若干狭いものの、カメラで取得できる温度当たりの階調が大きくとれるため、温度分解能及び不確かさは優れている可能性が示された。 405,420nmの組み合わせでは、計測可能温度範囲が17℃~38℃の温度幅は22℃で実際に計測が可能であり、その不確かさは0.2℃であった。また、温度分解能は12bitモノクロカメラを用いた今回の結果では0.05℃であった。 散乱光強度を得る際に生じる画像上のノイズの除去については、同一温度の画像枚数や空間フィルタ(メディアンフィルタと移動平滑化)についても評価を行い、画像の使用枚数は11枚以上、フィルタの窓サイズは5x5が良いことが明らかとなった。また、画像のピクセル毎に平均値を取ってから空間フィルタをかける方法と画像毎に空間フィルタをかけてから画像のピクセル毎に平均値を取る方法とを比較検討した結果、明瞭な差を確認することができなかった。よって、処理の都合上、画像のピクセル毎に平均値を取ってから空間フィルタをかける方法で差し支えないことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度では5℃毎の計測で十分な評価ができなかったため、1℃毎にして詳細に測定して評価を行った。その結果、405,420nmの組み合わせにおいては計測可能温度範囲、不確かさ、温度分解能などを明らかにすることができた。なお、405,420nmの組み合わせの計測可能温度範囲が420,442nm及び436,442nmの組み合わせの温度幅29℃よりも狭いため、本計測法の能力の限界が確認できているわけではなく今度詳細に検討していく必要がある。しかしながら、実験そのものは完了しているため順調に進展していると言える。 なお、本計測ではハーフミラーで反射された像を取得する2台目のカメラの像がぼけるという症状が確認されており、感温液晶微粒子を持ちいた液体内温度分布計測にはこのままでは適用できないことが分かった。本件に関しては、3次元PTVと同様なカメラ配置を取ることによって解決可能であり、現在その実験装置の改修中である。 以上より、最終年度に取り組む予定であった流体内計測へも対応がされているということから、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは20,442nm及び436,442nmの組み合わせの評価を完了させる。また、3次元PTVと同様なカメラ配置をの装置製作を完了させる。これらは7月中には完了予定である。 その後、感温液晶シートを用いた焦点距離の影響、感温液晶微粒子を用いた温度計測を行う。なお、温度換算プログラムとしては、波長毎にカメラのレンズで屈折率が異なっている関係で現行では狭い領域のみしか対応できない。そこで、広い画角に対応するため画像を小さな領域に区分し、それ毎に温度検定する手法に変更する。これらは一連の作業は9月中には完了予定である。 その後、画像からの感温液晶微粒子位置の3Dデータ作成や温度及び速度場の計測へ拡張することを予定している。
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Causes of Carryover |
想定されていなかったハーフミラー使用による画像のボケに起因する不確かさへの影響とその対策のため、本成果の学会での発表に遅延が生じているのが原因である。 ただしその対策は順調に進んでいるため、最終年度に発表の場を増やすことを予定している。
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