2018 Fiscal Year Research-status Report
フラッシュ・シュリーレン3D-CT法による実用乱流火炎の実像獲得
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16K06118
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石野 洋二郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30242902)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 三次元CT計測(コンピュータ断層造影法) / 燃焼 / 超音速流れ / 多方向定量シュリーレン法 / 直噴エンジン / 当量比分布計測 / 燃料種不明燃料 / 多種燃料混在場 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請研究課題は,日本機械学会RC研究分科会ならびにETMM10(欧州乱流モデリング計測国際会議2014)でも注目された科研費研究「非定常火炎の四次元CT計測法の確立」(平成23~26年度 基盤研究(C))で得られた成果である多次元燃焼計測手法「フラッシュ・シュリーレン3D-CT法」を各種の複雑な三次元非定常現象に適用し,それらの瞬間三次元的な実像を獲得することを目的とし,これまでの二次元的な研究成果に三次元的側面から新たな情報を加えることを目指す.具体的には,現有の20方向同時撮影フラッシュ・シュリーレン・カメラと三次元CT(コンピュータ断層造影)法とを組み合わせた「フラッシュ・シュリーレン3D-CT法」により,実用バーナー火炎,火花点火火炎,衝撃波などの高速(10 m/s~超音速)現象の瞬間三次元密度分布の計測を実施する. 前年度(2017年度)は,装置の改良についても,高精細な画像を獲得するため,カメラレンズを長焦点距離レンズに装換する,装置改良を行った. そこで,本年度(2018年度)は,改良された装置を用いて,計測実験を行った.さらに,本手法について,深い考察を行い,2つの新概念,すなわち,複素シュリーレン画像の概念,ならびに,当量比の直接計測の概念について,有用な研究成果を得た.これらは,それぞれ,画像ノイズリダクション,ならびに,燃料種不知の複数燃料種混在場での当量比計測を可能とするものである.いずれも,研究発表および特許出願につながっている.また,超音速噴流の非定常部分などの音速で変動する高速現象の瞬間三次元分布を得るために,光源であるフラッシュライトを,発光時間がサブミリ秒の超高速発光フラッシュランプに換装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本手法についての深い考察から得られた2つの新概念について,成果が得られた. 1つめは,画像変換時におけるノイズ除去に関する概念である.本手法では,三次元CT再構成において使用する「偏差密度厚さ画像情報」を,「定量シュリーレン画像情報」の水平方向への空間積分にのみ頼ってきた.しかし,この方法では,微小な画像ノイズであっても,同一高さの全情報に深刻な影響がもたらされる.そこで,多方向・複数の積分経路の積分により「偏差密度厚さ画像情報」を得る手法を考案し,検討を行い,複素シュリーレン画像の概念を得るに至り,国際学会発表が決定した.この発表論文が,当該学会での最優秀論文賞の内定を得た. 2つめは,計測対象に関する新概念である.シュリーレンCT法では,温度変化や濃度変化による気体中の密度変化による「微少な光の屈折角度」から,温度や濃度の三次元分布を計測する.しかし,燃焼現象では,その燃料種に適切な濃度割合(当量比)を知ることが重要である.既知の1種類の燃料が空気中に拡散した状態では,密度から濃度を知り,その燃料に固有の定数を用い当量比分布を知る方法(間接法)がある.間接法では,未知の燃料種,あるいは,既知であっても2種以上の燃料混在場での当量比分布の計測は不可能である.研究代表者らは,エタンより重い炭化水素燃料およびアルコール,DMEならば,「微少な光の屈折角度」から直接的・統一的に当量比を計測できることを発見した.今年度は,国内発表を行い,優秀発表賞を得た.また,特許出願が為された. さらに,計画以上の進歩として,また,超音速噴流の非定常部分などの音速で変動する高速現象の瞬間三次元分布を得るための,発光時間がサブミリ秒の超高速発光フラッシュランプへの光源換装を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,上記の2つの新概念と改良光源による研究をさらに発展させると同時に,国内はもちろん,国際的な評価を得ることに努める.
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