2016 Fiscal Year Research-status Report
微粉炭の物理的および化学的構造に基づく混相乱流素反応モデリング
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16K06125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡邊 裕章 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60371598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則永 行庸 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (00312679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 石炭 / 非球形粒子運動 / 熱分解 / 詳細化学反応 / 数値解析 / レーザー計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
非球形粒子の振動・回転運動を粒子形状バラメータに応じた確率密度関数による非定常抗力式として,粒子の運動方程式を定式化した.また,これを質点近似による一様等方性乱流場における乱流中粒子分散挙動の直接数値計算を実施し,この非定常抗力式により考慮される粒子形状効果の有無が,粒子の分散挙動に影響を及ぼすことを明らかにした.さらに,この結果を踏まえ,乱流噴流における粒子分散挙動について,真球ポリマー粒子と微粉炭粒子を用いたPIV計測実験を行うとともに,ラージ・エディ・シミュレーションを実施した.その結果,粒子形状や粒径分布により,乱流噴流中の粒子分散挙動が影響を受けることを実験的に明らかにするとともに,数値解析によりこの挙動を再現することに成功した. 報告者らが開発した石炭の化学構造に基づく熱分解モデル「拡張Chemical Percoaltion Devolatilization(E-CPD)モデル」を数値解析コードに導入するとともに,多環芳香族炭化水素(PAH)の分解・重合反応を考慮可能な素反応式に基づく化学反応機構,およびすす生成モデルとのカップリングを図り,タール放出から重合・分解反応に至る一連の微粉炭粒子の初期反応についての数値モデルを開発した. また,石炭中窒素化合物の熱分解特性を解明するとともに,数値モデル検証データを取得することを目的に,Drop Tube Rector(DTR)を用いた熱分解実験を瀝青炭,亜瀝青炭,および粘結炭の3炭種を対象に実施し,炭種毎に熱分解過程において窒素化合物の放出割合はCHO化学種放出割合と異なること,しかしながら,熱分解完了時点においては,CHO化学種放出割合とほぼ等しくなること等が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の当初計画通り,非球形粒子の6自由度直接数値計算データベースから導かれた確率密度関数に基づく非定常抗力式を提案するとともに,質点近似による一様等方性乱流場および乱流噴流場における粒子分散の数値解析を実施した.また,タール放出から重合・分解反応に至る一連の微粉炭粒子の初期反応についての数値モデルを開発した.さらに,Drop Tube Rector(DTR)を用いた熱分解実験を瀝青炭,亜瀝青炭,および粘結炭の3炭種を対象に実施し,窒素化合物の放出挙動について明らかにした.上述の成果により,おおむね計画通りに進展しているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
・前年度までに作成した数値モデルを用いた数値解析を実施し,DTR実験データとの比較検証を通じ,モデルの妥当性の検証を図る. ・大規模数値解析に向けて,計算負荷低減のための窒素化合物の熱分解挙動を含む素反応に基づく詳細化学反応機構の簡略化を図る. ・小型噴流微粉炭火炎の数値解析を実施し,実験データとの比較検証を通じ,一連の開発されたモデルの妥当性検証を行う.
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Causes of Carryover |
参加予定の学会の参加取り止めにより,その他経費に差異が生じたことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
積極的な学会参加や論文掲載による成果発表を推進することにより,本次年度使用額を有効に活用する.
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