2016 Fiscal Year Research-status Report
ORiNの有用性の実験的検証と3Dプリンターライクに利用できる加工ロボットの開発
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16K06203
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
永田 寅臣 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (50435070)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 産業用ロボット / ORiN / 位置・姿勢制御 / CAD/CAM / CLSデータ / 加工ロボット / 標準化 / インタフェイス |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】ORiNの仕様調査と制御系の開発に必要となる機能の抽出 ORiN (Open Robot/Resource interface for the Network) とはロボットや各種機器に対して、メーカー、機種の違いを超え、統一的なアクセス手段と表現方法を提供する通信インターフェースであり、2011年には国際規格ISO20242-Part4 にORiN適用事例が規定された。研究の初年度は、材料加工に適用可能なサイズのORiNが搭載された産業用ロボット(VS068)を導入し、提案者がこれまでに異なるロボットメーカー毎に開発してきた「CLS(工具経路)データに基づく軌道追従制御法」と「力制御を併用した倣い制御法」を効率的に適用するための仕様を調査し、CAO(Controller Access Object)と呼ばれるプログラムインターフェイスから必要となる機能(API:Application Programming Interface)の評価と抽出を行った。 【2】ORiNが搭載された産業用ロボット(VS068)への「CLSデータに基づく軌道追従制御法」の適用実験と評価 【1】で評価した多数のORiNのAPIの中から入力用のCaoGetPoseと出力用のCaoMoveを用いるだけで「CLSデータに基づく軌道追従制御法」のソフトウェアを開発し、産業用ロボット(VS068)に実装することができた。これにより、市販のCAD/CAMで生成させたCLSデータを直接ロボットの目標軌道に利用できるようになったため、平成29年度から「3Dプリンターライクなデータインタフェイスを持つ加工ロボット」のアプリケーション開発と性能評価が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施した二つのサブテーマ、【1】ORiNの仕様調査と制御系の開発に必要となる機能の抽出、【2】ORiNが搭載された産業用ロボット(VS068)への「CLSデータに基づく軌道追従制御法」の適用実験と評価、については下記のように事前に小型の教育用ロボットを使った準備研究を行っていたため、多くのORiNの技術資料の中から本開発に必要となる機能を効率的に抽出し、評価することができた。また、今回はシミュレーション環境であるWINCAPIII上での動作確認を行うことで、危険を伴う実機産業用ロボット(VS068)による実験の前におおまかな動作の評価が行えたため、安全に研究開発を進捗させることができた。
永田,永冨,林,大塚,渡辺, “ORiN2 SDKを用いた小型多関節型ロボットVE026Aの軌道追従制御”, 第15回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 1205-1207, 2014.
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Strategy for Future Research Activity |
現在普及が進んでいる3Dプリンタは ステレオリゾグラフィ(STL)によって簡単に動作させることができる。STLは 積層造形法に代表されるラピッドプロトタイピングシステムの標準的なファイルフォーマットになっており、多くのCADソフト、デザインツールよってサポートされており、高額なCAMソフトを必要としないという大きな利点がある。このため、次世代の加工ロボットでもSTLに対応できるようにする。
【3】STLデータの最適化機能の開発: 3Dプリンタのように低価格なデサインツールで生成できるSTLデータから直接加工を行うことができるロボットンステムを開発するにあたり、プリプロセッサの仕様について検討し、設計を行う。STLデータは積層加工に適したフォーマットであり、曲面を構成する場合サイズと密度を調整できる多数の三角パッチが何層にも積み上げられた構造をしている。このため、ロボット加工などの切削加工でSTLデータを用いる場合は、如何にして不要な三角パッチを除去し、加工目標となる表面上の三角パッチのみを面落ちすることなく抽出し、再梢成できるかが重要となるため、最適化のためのアルゴリズムを検討する。
【4】最適化されたSTLデータに基づく工具経路(CLSデータ)のスマート生成法の開発:【3】で再構成されたSTLデータ内の多数の三角パッチを参照することで、目標の加工形状を知ることができる。3DプリンタのようにCAMを必要としない利用環境を実現するためには、この最適化されたSTLデータから直接、曲面に倣ったジグザグや渦巻きなどのエ具経路を生成させる必要がある。このため、ジグザグパス生成時のピックフィードやインボリュート曲線等の渦巻きパス生成時の放射方向のビッチといった非常に単純なパラメータを設定するだけで曲面に沿った位置と姿勢情報からなる望みのエ具経路を生成できるようにプリプロセッサを開発する。
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