2016 Fiscal Year Research-status Report
酸化ガリウムワイドギャップ化合物半導体薄膜のn型ドーピングの制御
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16K06268
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
郭 其新 佐賀大学, シンクロトロン光応用研究センター, 教授 (60243995)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化合物半導体 / 電気特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パワーデバイス及び深紫外固体光源用材料として注目されているワイドギャップ化合物半導体である酸化ガリウム(Ga2O3)に着目し、n型Ga2O3結晶膜の電気伝導性制御の実現を目的としている。パルスレーザー堆積法を用いて高品質n型Ga2O3結晶膜の成長技術を確立し、デバイス応用に向け、Siドーパントの化学組成・結合状態、電子状態を観測することにより、ドーピング機構を解明しようとしている。 平成28年度は、サファイア基板上にパルスレーザー堆積法を用いて、成長温度を500℃とし、ターゲット中のSi濃度を0.01,0.05,0.1,0.3,0.5,0.7 wt% と変化させ、SiドープGa2O3薄膜の成長を行った。作製されたSiドープGa2O3膜について、X線回折、原子間力顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法、二次イオン質量分析法、ホール測定法により評価を行った。その結果、成長膜中のSi濃度は、ターゲット中のSiの含有量を変えることにより、制御できることが分かった。また、異なる電子密度を持つGa2O3薄膜を作製するためのターゲット中のSi含有量の最適値を明らかにした。これらの研究成果は、国際学術論文誌Applied Physics Lettersに公表した。また、2016年に開かれたThe International Workshop on UV Materials and Devices (IWUMD-2016)国際会議で招待講演を行い、研究成果の一部を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、SiドープによりGa2O3薄膜の電子濃度の制御が実現できており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られたデータを活用して、引続き、パルスレーザー堆積法によりSiドープGa2O3膜の作製を行うが、電気特性を改善させるため、Ga2O3膜の結晶の高品質化を目指す。このため、ターゲット中のSi含有量を一定とし、基板温度、酸素圧力を変化させ、Ga2O3薄膜の作製を行い、基板温度、酸素圧力をはじめとする各種成長条件と成長膜の結晶性との相関を調べ、最適的な結晶成長条件を明らかにする。得られた研究成果は、国際会議で発表し、国際的に評価が高い学術論文誌に公表する。
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Causes of Carryover |
パルスレーザー堆積実験装置用のエキシマレーザー用のガス購入用の費用を計上したが、平成28年度は装置のガス交換の必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプルを作製する際、エキシマレーザー用ガス、高純度酸素ガス、基板洗浄用薬品、ターゲット及びガスケット等の真空部品が必要とされるため、これらを消耗品として購入する。また、研究打合せ、研究成果発表のため、旅費及び論文投稿料として使用する。
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