2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06337
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斉藤 昭 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 客員教授 (80536920)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / アンテナ理論 / MIMO / 軌道角運動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の目標として、(1)OAMモードの放射メカニズムの解明(2)OAMモードを効率的に放射できるアンテナ構成の解析(3)OAM波を放物面鏡で集束させた場合の電磁界の理論解析(4)OAMモードが単一モードで放射するアンテナの試作評価の4点を挙げた。 1項のOAMモードの放射メカニズムの解明に関しては、OAMモードは単一磁気量子数の放射モードであることを示し、このモードはループアンテナの導体半径・導体幅を適切に制御することで単一モードに近づけられることを、理論・数値計算で明らかにした。従ってループアンテナは原理的には無限に単一OAMモード放射に近づけられることが示され、2項の構成の解析に関しても完了した。なおループアンテナ導体は、アンテナ導体中の電子の軌道角運動量が単一となると考えられ、電子と電磁界の角運動量保存則から考えても妥当な結果と言える。 3項のOAM波を放物面鏡で集束させた場合の電磁界の理論解析に関してはその解析を完了し、OAMの高次モードほど大きな放物面鏡が必要になることを、理論式を用いた数値計算で明らかにした。 4項のOAMモードが単一モードで放射するアンテナの試作評価に関しては、1項並びに2項の解析をもとに、単一OAMモードに近いループアンテナを設計し、これをアレイ化したものを試作した。これを用いた4値多重OAM近距離通信(1cm)の評価で、信号波と比べ干渉波(次数の異なるOAM波)は10dB以下に抑制されることを、シミュレーション並びに実測値で示した。またループアンテナアレイと放物面鏡を用いた実験も行い、同じく4値多重OAM通信(距離1m)で信号波と比べ干渉波(次数の異なるOAM波)は10dB以下に抑制されることを実測値でも示した。但し、10dBという値は通信性能の観点からは十分とは言えないので、更なる干渉波抑制の検討を次年度以降に進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、2016年度の目標である(1)OAMモードの放射メカニズムの解明(2)OAMモードを効率的に放射できるアンテナ構成の解析(3)OAM波を放物面鏡で集束させた場合の電磁界の理論解析(4)OAMモードが単一モードで放射するアンテナの試作評価の4項目とも計画通りに達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進捗しており、次年度も当初計画通りに研究を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は概ね計画通りに開発を進めたが若干予算を下回る、91%の使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの金額は来年度に回し、試作・学会発表を若干増やして、実験的検証を加速するとともに成果の公表を推進する。
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Research Products
(8 results)