2016 Fiscal Year Research-status Report
遅延エトリンガイト生成によるセメント硬化体の膨張に及ぼす共存物質及び水分の影響
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16K06438
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 豪 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90452010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遅れエトリンガイト生成 / 共存物質 / 前処理乾燥 / XRD/Rietveld解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、遅れエトリンガイト生成に、モノサルフェートの前処理乾燥の違い、および共存物質の違いがそれぞれどのような影響を及ぼすかを実験的に把握することを目的として、合成水和物を使用した単純な系を用いて検討を行った。 実験に用いたモノサルフェートは、炭酸カルシウムと酸化アルミニウムを用いて純薬合成したアルミネート相と、二水石膏をそれぞれモル比1:1で混合し、水結合比10でイオン交換水を用いて練り混ぜを行い、養生後吸引濾過により固相を分離した。また共存水和物のC-S-H(C/S=1.0、1.5)、ハイドロガーネットについても純薬合成を行い、珪石微粉末は市販品を用いた。作製したモノサルフェートおよび上記共存物質は、R.H.66%に調湿したデシケーター内で恒量となるまで乾燥させた。モノサルフェートに関しては前処理乾燥をR.H.0%(110℃乾燥)とした試料も作製した。供試体の作製については、モノサルフェート単体および共存物質を質量比1:1で混合した各配合について、粉体:溶液=1:2(質量比)として0.5mol/L硫酸ナトリウム水溶液を用いて練り混ぜを行った。その後、20℃環境下で1日養生し、アセトンにより水和停止を行った。分析は、水和前(R.H.0%、66%恒量)のモノサルフェートおよび硫酸ナトリウム水和後の試料について、XRD/Rietveld解析により、遅れエトリンガイト生成量を比較した。 その結果、モノサルフェートは前処理の乾燥条件が異なる場合、結合水量の変化により、結晶構造が異なることが示唆され、 前処理の乾燥条件が異なるモノサルフェートを硫酸ナトリウムで水和させた場合、遅れエトリンガイト生成量が変化するものと考えられた。また、R.H.66%で前処理乾燥した場合、モノサルフェートとC-S-Hが共存した場合には、遅れエトリンガイト生成量が大幅に増大する結果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部乾燥(恒量)に時間がかかるものがあったが、おおむね目的通りに分析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度、30年度は、モノサルフェート50mass%+各種共存物質50mass%とした配合で,Na2SO4溶液を用いて練混ぜを行い,その際のエトリンガイト生成熱の測定および,反応後のエトリンガイトをはじめとした水和解析を実施し,膨張性状についてエトリンガイト生成量および熱力学的観点から考察する予定である.加えて,エトリンガイトの水分状態や水分挙動および,エトリンガイトの構造が膨張性状に及ぼす影響について,遠征IRやダイナミックTGを用いて、より詳細な分析を実施する予定である.
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Research Products
(9 results)