2017 Fiscal Year Research-status Report
遅延エトリンガイト生成によるセメント硬化体の膨張に及ぼす共存物質及び水分の影響
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16K06438
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
斎藤 豪 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90452010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 硫酸塩劣化 / エトリンガイト / 二次生成 / モノサルフェート / C-S-H / C-A-S-H / 27Al NMR / Al配位数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、C-S-Hが共存した場合におけるエトリンガイト二次生成の促進現象について、化学組成およびAlの結合状態の観点から検討を行うことにより、その機構について考察を行った。 実験は、モノサルフェートに対して各共存物質を質量比1:1で混合し、練り混ぜ水和させた。なお、モノサルフェートと共存物質は乾燥条件が同じものを混合させた。水酸化カルシウムと非晶質シリカの両者を混合した配合については、[水酸化カルシウム+非晶質シリカ]中のC/S比がそれぞれ1.0、1.5となるように調整して、モノサルフェートと混合した。また、作製した供試体はXRDおよび27Al NMRによって分析を行い、エトリンガイト二次生成メカニズム任官する考察を行った。 その結果、C-S-Hが共存した場合、モノサルフェートの乾燥条件によらず、エトリンガイトの二次生成量が顕著に増大する結果となった。しかし、C-S-Hと同一の化学組成(CaおよびSi含有量)として水酸化カルシウムおよび非晶質シリカを混合しても、エトリンガイト生成量は増大しなかった。 また27Al NMR結果から、C-S-H共存の試料において、4配位Alを有するC-A-S-Hが形成されていることが確認された。加えて、合成C-A-S-Hをモノサルフェートに共存させた場合、モノサルフェートが残存する一方で、エトリンガイトがC-S-H共存試料と同程度生成した。このことから、エトリンガイトは4配位Alから生成されやすく、C-S-HはSi鎖中にAlを置換して4配位Alを形成するために、エトリンガイトの二次生成を促進するものと考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に新しい発見があり、平成30年度は計画書の予定に加えて追加の実験を行う計画があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、合成水和物を用いて遅延エトリンガイトを生成させ,エトリンガイトの結合状態および構造について,多種の化学分析を実施することによって,エトリンガイトの結合状態および構造が硬化体の膨張メカニズムに及ぼす影響を明らかにする.また平成29年度の結果を踏まえ、共存物質としてC-S-H以外についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
設備購入資金の一部にする予定があるため。
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Research Products
(12 results)